そのななじゅうきゅうです。
夏美さんが駄目で、夜切君も何か用事があるとかで、いないとなると残るは……。
「……ということで、やってきました」
「何がということなのかしら……?」
眉をピクピク引き攣らせているのはお馴染み、ツンデレ(クラスで皆が蓮さんのことをそう呼ぶのをいつも聞いてます)こと、蓮さんでした。
その場を去ろうとする蓮さんに、私は縋り付くように引き止めようとしました。
「お願いです蓮さんっ。もう頼れるのがあなたしかいないんですっ」
「ちょっ、ちょっと! 引っ付かないでよ! 周りの奴等が変な目で見てるのが分からないの!?」
……? 変な目? どういう意味でしょうか?
『おい、アイツら見ろよ……』
『え? どうして綿々と津出川が抱き合ってるんだ?』
『実はガチという噂が……』
『マジで? それってヤバくないか?』
周りといえばさっきから、クラスの皆が何かヒソヒソと話してるのが聞こえますね。
何を話してるんでしょうか?
まぁ、それはともかく……。
「頼みを引き受けてくれるまで離しませんっ」
「ほとんど脅迫じゃないの、それ! 〜〜っ、ああ、もうっ! 分かったわよ! 部活動の案内をすればいいんでしょ!?」
その言葉を聞いて、私は蓮さんをひしっと抱きしめました。
「ありがとうございます蓮さんっ。大好きですっ」
「ちょっとぉっ!?」
『聞いたか、今の?』
『ああ、確かに聞いたぜ』
『まさか噂は本当だったとは……!』
『綿々を落とすとは……やるなぁ津出川』
「本当に……大好きですっ、蓮さんっ」
「アンタ、空気ってものを読みなさいよ、このバカーーーーっ!!」
後で聞いた話によると、その時の蓮さんの声は学校中に響く程だったそうです。




