番外編 そのじゅう。
「ほら、これ」
後日。
俺は萬に包みに入ったプレゼントを渡していた。
「む……? これはどういう事じゃ?」
「どういう事も何も……誕生日プレゼントって見ないと分からん物か?」
「え……?」
「お前今日、誕生日だろう? だからそれは、その……俺からの気持ちだ。開けてみろ」
「あ、ああ……」
萬がおずおずと包みを開いていく。
包みから出てきたそれは、シンプルながらも今時の女の子が着るようなピンク色の洋服だった。
「これは……!」
「お前、和服しか持っていなかっただろう? だったら、この期に洋服をあげようかと思って選んだんだが……」
目の前にいる萬の反応を待っていると、萬は体をプルプルと小刻みに震わせていた。
「夕……おぬしという奴は……!」
まずい。
そう思った俺は弁解らしきものを口にしようと、慌てた。
「すまん。正直、あんまり大した物じゃなかったし、お前に似合うかどうかも分からな「ありがとうなのじゃーっ!」いいいいっ!?」
瞬間、笑みを浮かべた萬が両手を広げて、俺に飛びかかってきたのだった。
あまりに突然過ぎる行動に、俺は対応し切れず、結果、俺と萬は二人仲良く勢い良く床に叩き付けられる形となった。
「──っ! 痛い……何をするんだ、萬」
「すまぬ、すまぬ。いやいや、本当に嬉しかったものでな」
そう言う萬は俺の照れくさそうに、頬をポリポリとかいていた。
そうしてから萬は立ち上がって、俺に頭を下げた。
「夕、どうもありがとうなのじゃ。大切にさせてもらうぞ」
「……ああ。そう言ってもらえるとこっちも嬉しい」
「そうと決まれば、この服をどこか保管する場所を決めなければ……」
「いや、普通に着ろよ」
言ってから、俺は吹き出した。
その後、萬も吹き出して、二人で笑い合った。
散々笑った後で、萬が涙を拭きながら言う。
「なぁ……夕よ」
「なんだ?」
「儂は……居候とは言え、おぬしの事を家族として大切に思っているからの。……それだけは決して忘れんようにな」
「……」
ああ、大丈夫だ。
心の底で俺は安堵する。
俺にはそうして笑い合える家族がいる。
一緒にいると、そう言ってくれる友人だっている。
一人ぼっちじゃ、もうない。
だから俺はこんな日々がいつまでも続くといいと、そう願った。
──いつまでも変わらないものなどありやしないというのに。
この話で二章は終わりになります。
二章はほぼシリアスパートでしたが、三章からはまたギャグパート多めに戻ります。
そして、四章ではまたシリアスパートに……って、そこまではよく分かりませんが、そうなるといいですね。
自分の小説はプロットを無視して、キャラが暴走する事があるので、もう一度プロットを確認する必要がありそうです。




