番外編 そのはち。
綿々が目覚めてから、丁度、一週間が経った日。
「のぅ……夕よ」
やる事もないので、勉強をしている俺に萬が声をかけてきた。
「……何か用か?」
視線は手元にあるノートに映したまま、言葉を交わす。
「……忘れたとは言わせぬぞ。あれから、一週間が経った」
「ああ、そうだな」
「だというのに、おぬしは綿々に会おうともしていないのじゃ」
「……」
「のぅ、夕よ……これでいいと思っているのかの? おぬしも、本当は……」
「……いいんだよ」
俺はそこでようやく顔を上げた。
「俺が綿々に会ったところで、何が出来る? そもそも、綿々を傷つけたのは俺だ。そんな俺に……綿々と会う資格なんてあるわけがない」
「儂が言いたいのはそうではないのじゃ。資格とかそういう事ではなくてじゃな……おぬし自身はどう思っているのじゃ?」
回りくどい萬の言い方に苛ついた。
「……何が言いたい」
「おぬしは綿々に会いたいのか? そうではないのか?」
「そんなの……」
言葉に、詰まった。
今更ながら、俺はその答えが何故か出せなかったのだ。
黙る俺に萬は諭すように肩を掴んだ。
「これだけは言っておくぞ。……会う資格がないなんて事、おぬしが決める事じゃないのじゃぞ? おぬしは今、おぬしがしたい事をすればいい」
そして、萬は俺の肩をポンと軽く叩いた。
「決めるのはおぬしじゃ。動くか動かないか決めるのもおぬしなのじゃぞ?」




