表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/139

番外編 そのなな。

 伝える事が出来る、とふわは見た事ない程の真っ直ぐな目で僕に向かって言った。

 だけど、ふわのその言葉に込められた思いは僕に向けられたものじゃない。そのくらいは、誰にだって分かる事だ。

 僕自身は勿論、分かっていた。

 分かってはいたけど……それが夜切君に向けられたものだと分かると、嫉妬せずにはいられなかったね。

 ああ、素直に告白するよ。

 僕は夜切君に嫉妬していた。

 目覚めた後のふわの話は大体が夜切君は悪くないだとか、夜切君がどうしてるだの、夜切君が心配だの、そんな事ばかりだった。

 その時から、僕は何だか自分の元からふわが離れていってしまうような気がして、不安で堪らなかった。


 ふわと離れたくない。

 ふわと一緒にいたい。


 我儘な子供が駄々をこねるのと、同じだった。

 僕はふわの身を案じてふわを止めに来たんじゃなかった。

 僕は我儘な自分・・のためにふわを止めに来たのだった。

 でも、それももう止めにする事にする。

 こうしてふわがはっきりと自分の思いを口にした以上、僕が何かをするなんて事、無粋以外の何物でもないから。


「……こんな事になる事くらいは分かってたんだけどな」


 本当にね。

 困惑した表情を浮かべるふわに僕は「行きなよ」告げ、そのまま背を向ける。

 これでいい。

 僕が関われるのはここまでだ。

 あと、僕に出来る事と言えば、二人を黙って見守る事くらいだ。


 去る途中、僕は後ろを振り返って、笑顔で手を振るつもりだった。

 こういう時だ。ふわのために笑顔の一つ、見せられなくてどうするっていうんだ。

 『お兄ちゃん』としての最後の筋を通す。

 そのつもりで僕は後ろを振り返るつもりだった。


 だけど、振り返る事は出来なかった。

 決して、ふわ達を見守る事が出来そうになかったからじゃない。



 ──涙交じりの笑顔なんて、見せるだけ無駄だと思ったからだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ