そのろくじゅうろくです。
私が目覚めてから、早一週間が経ちました。
安静に、とお医者さんとお兄ちゃんから言われているので、病院内であまり動く事は出来ませんでした。
動く事が出来ないとなると、やれる事は限られていて、数える程しかありません。
お兄ちゃんが持って来てくれた本や裁縫道具で、読書やぬいぐるみ作り。
あとは勉強に……
私が本を読んでいると、バンッ! と突然、病室のドアが大きく開かれました。
「ふーわーちゃーんっ! また、会いに来たよーっ!」
「こんにちは、夏美さん」
……毎日のようにやってくる夏美さんと会話する事ぐらいです。
私は読んでいた本に栞を挟むと、本を閉じました。
口にするのは恥ずかしくて出来ませんが、ここでの生活の中で夏美さんと会話する事が一番の楽しみだったりします。
「夏美さん。学校の方はどうです?」
「んー……退屈ー。やっぱり、ふわちゃんがいないとつまんないかなー」
「私も夏美さんと学校に通えなくて、寂しいですよ」
「本当ー?」
「はい。……でも、もう少しの辛抱ですよ。あと一週間経てば、退院出来ます。そうしたら、すぐに学校に通えますよ」
治療のおかげか、体の傷は一部分を除いて殆ど癒えました。
しかし、足の方だけはまだ完治してないので、それさえ癒えれば退院出来ると聞いてます。
「それで……夏美さん」
「何ー?」
「……夜切君は、どうしています?」
「……」
途端に黙り込んでしまう夏美さん。
私は尋ねました。
「……私の事、何か言ってました?」
「……ううんー。ふわちゃんの事は言ってないよ」
「そう……ですか」
私が目覚めてから、一週間。
あれから夜切君に、私は一度も会えていませんでした。




