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そのろくじゅういちです。

 その帰り。

 私達は横並びになって、雑談をしながら駅まで歩いていました。


「今日は楽しかったですね、夜切君」

「……そうだな」

 ぶっきらぼうに言う夜切君の横顔を見て、私は思いました。

 本当に今日は楽しかったです……。

 夜切君と一緒にいられて、楽しく買い物したり食事をしたりして……。

 その時でした。私の前ににゅっと横から夜切君が出てきました。

「……おい、危ないだろ。前見ろ」

「あ……すいません」

 目の前は横断歩道で、先にある信号は赤く点灯していました。

 夜切君に止められてなかったら、危うく車に轢かれそうでしたね……。

「ったく、気をつけろ……!?」

 私達が事態に気が付いたのは……その時でした。

 とてとてと私達の目の前を歩いていく5、6歳の少年。

 まさか……あの子、信号が赤だと気が付いていない!?

「くそっ!」

「夜切君っ!?」

 思わず、といった感じで夜切君は少年の前に飛び出していきました。

 それにつられて、私も後を追うように飛び出しました。

 トラックと少年の距離はあと数メートル。

 ぶつかる直前、夜切君はのんびりと横断歩道を渡る少年を思い切り突き飛ばしました。

「──あ……」

 無慈悲に夜切君に迫るトラック。

 その瞬間、私の頭の中は真っ白になりました。

 ──夜切君が轢かれる?

 夜切君はまた、自分の身を犠牲に他人を助けるつもりで──?


 ……やらせません。そんなの、間違っています。


 私の足が無意識に動き出し、私はいつの間にか夜切君に自身の体を力一杯ぶつけていました。

 スローモーションのように、私の前に夜切君の驚愕の表情がゆっくり映りました。

 ごめんなさい、と私は心の中で呟きました。

 次の瞬間、私の体に強い衝撃。

「──っっっっ!!!」

 声にならない悲鳴。

 それは紛れも無く、私のものでした。

 ぐるぐると回る視界が、やがて真っ赤に染め上がりました。

 なんだか体が温かい……。



 そう思った後、私の意識は──そこで消失しました。

 次回から二章に入ります。

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