そのごじゅうろくです。
「なるほど……つまり夜切君が私を連れてきたのはその秋扇さんにあげるプレゼントを一緒に選んで欲しいという事だったんですね」
「大正解だ。よく出来たな綿々」
よしよし、とそのまま頭を夜切君になでられました。
あ、ちょっと嬉し──
「って、いきなり何なんですかっ。こ、子供扱いしないでくださいっ」
頭をなでてくる夜切君から、私は咄嗟に身を引きました。
あ、危なかったです……さっき私は何を思って……!
「さっきの仕返しだ。……それに少し嬉しそうだったろうに」
「うぅ……!」
図星を突かれ、私の頭がボンッとショートし、煙が吹き出すのが分かりました。
ああ、公の場でなんて醜態を……!
「や、夜切君、今のは仕返しにしてもいじわる過ぎますっ」
「綿々、二倍返しって知ってるか?」
「にしたって限度が……」
その時でした。
電車がブレーキをかけたのか、車内ががたんと大きく揺れました。
「きゃ──」
「! 危な──」
気がつくと、座席から落ちそうになる私の手が……夜切君によってしっかりと握られていました。
「あ、ありがとうございま──」
私が礼を言う前に互いの顔がくっつきそうになるぐらいの距離まで、その身が引き寄せられました。
「あっ……」
吐息を、感じました。
目の前には夜切君の顔があって、少し近づければキス出来てしまいそうで……。
「「──っ!」」
同時に、私達は顔を背けました。
「ご、ごめんなさい……」
「……い、いや。こっちこそ悪かったな」
な、何なんでしょう、この雰囲気は……。
結局、電車のアナウンスが目的の駅を知らせるまで、私達はそのままでした。
……なんだ、このラブコメ。




