そのごじゅうよんです。
「なら、それ以外に夜切君が欲しがる物なんてあるんですか?」
「割りと傷付く発言だな。……普通にあるからな?」
「それは何です?」
「……プレゼント」
「プレゼント?」
何でしょう。夜切君の口から考えられない単語が出たような気が?
「えっと、プレゼントってどういう意味ですか?」
「……何が、とか聞くなら分かるんだが、どうして意味を聞いた?」
「どうしてもこうも、意味が分からないから聞いたんですが……」
首を傾げる私に夜切君が珍しく溜め息をつきました。
「……もうすぐ誕生日を迎える奴がいるんだよ。プレゼントを買いたいって言ったのはそれをソイツに渡すためで──」
「──ちょっと待って下さい」
途中、私は手で夜切君の続く言葉を制しました。
「……どうした?」
「……つまり今日、夜切君は誕生日プレゼントを買ってあげるために私を付き合わせたって事ですか? 二人で買い物を楽しみたいとかそういうのではなく?」
それが事実ならこれは……だったらこれは……これは……!
「ん? まぁ、そうなるな」
「……」
これは──デートでも何でもないのでは?
ガラガラ、と私の中で何かが崩れ落ちていきました。
「なるほど……そうですかー、よく分かりました」
私は理解したとばかりに何度も頷きます。 何度も何度も……自分に言い聞かせるように。
そして次の瞬間──すぐさま夜切君の眼球に向かって私は指を二本突き出しました。
ぶすり、と嫌な音。
「目がぁっ、目があぁぁぁぁっ!?」
「すいません、夜切君。手が滑りました」
「その割りにはこれ以上ない程のコントロールだったんだが……っ!? というか綿々、これは何のつもりだ……!?」
目の痛みに悶える夜切君に私はにこりと笑って一言。
「女心を弄んだ罰です」




