番外編 そのよん。
prrrrr……
ふわが家を出て行ってからしばらくして、僕が仕事で出払ってる親の代わりに家事をこなしていると、突然固定電話が鳴った。
面倒だな、と少し思いつつも、僕は受話器を手に取った。
そして、それを耳に当てると、聞こえて来たのは女の子の声。
『もしもし、ふわちゃんー?』
僕はすぐに声の主を悟った。
一度、学校であった事があるから分かる。ふわと特に仲のいい、古海 夏実さんだ。
「残念だけど、違うよ」
『あっ、お兄さんの方でしたかー。……よく、わたしの事を覚えてましたねー』
「やだなぁ。ふわの友人を忘れるわけないじゃないか。寧ろ、古海さんこそ僕の事を覚えていたね?」
『お互い様ですねー』
「それもそうだね」
僕と古海さんは互いに笑い合った。
だけど、会話が和やかだったのはここまでだった。
「それで古海さんはふわに何の用? 今日はふわと一緒にショッピングに出かけるんじゃないのかい? あ、もしかして、寝坊しちゃって遅れるとかそういう──」
『? いえ、そんな予定はないですけどー?』
……??
どういう、事だろうか。
思考が停止した僕は、思わず受話器を落としてしまった。
待て待て待て……。
冷静になろう。そしてゆっくり考えてみよう。
どうしてふわは古海さんとショッピングに行くと嘘をついた?
ふわには嘘をついてまで出かけなければならない目的か何かがあった?
なら、その目的とは何か?
僕の直感が言っている。
「……男、か」
きっと、ふわと同じクラスのクソ野郎共の誰かががふわの芸術的までの美しさと可愛らしさに不相応にもふわを日曜日にショッピングしないか、とか言って、事もあろうにデートに誘いやがったのだ。
デートに誘われ、心優しいふわは相手を傷つけない為に敢えて断らなかったんだろう。本当は嫌だったのにも関わらず。
兄である僕に心配をかけないよう、嘘までついて。
いつの間にか、僕は自身の拳を血が滲む程握りしめていた。
そうして、心に誓う。
ふわ……! 気づけなくてごめんね……!
でも、もう大丈夫だよ。僕が今すぐそのクソ野郎をブン殴って、フロリダ辺りまでぶっ飛ばしてあげるから……!
『あれー? もしもしー、お兄さんー? 聞こえてますかー? もしもしー?』
……そうと決まれば、早くふわを探し出さなければ。
一刻も早く、僕の手でふわを魔の手から救い出すんだ!
……こうして、盛大な勘違いし且つ、通話をほっぽり投げながら、修羅と化した綿々 絹はふわのいるショッピングモールへと向かったのだった。
ふわちゃんの兄がまさかのバーサーク化。
プロットでは、尾行するだけのはずだったのに、どうしてこうなったw




