そのごじゅういちです。
「おや、ふわ。今日はいつもよりも随分とお洒落な服を着ているんだね」
当日の朝、私のスカートにカーディガンといったシンプルながらも清楚系のファッションにお兄ちゃんは予想通り、指摘をしてきました。
そこで私は予め、用意していた台詞をお兄ちゃんに向かって言いました。
「今日は夏実さんと買い物に行くんですよ。夏実さんもお洒落をしていくみたいですし、私もこのくらいお洒落をしないと、浮いてしまうんですよ」
「なるほどね。にしても……」
「な、何です?」
「いや、よく似合ってるよ。流石、ふわだね。清楚系も相性バッチリ……ふわなら何でも着こなせるんじゃないかな?」
「もうっ、褒め過ぎですよお兄ちゃん」
頬をかく仕草をしながら、私は内心で安堵の息を漏らしました。
良かった……今の所は上手く誤魔化せてるようですね。
このままいけば、お兄ちゃんに特に何も疑われる事なくデートに向かえるでしょう。
「でも、気を付けて行ってきなよ。最近、この辺で事故とか多いんだから」
「分かってますよ」
お兄ちゃんの心配症は今日も健在でした。確かにそういう話を聞いてますが、気を付けていれば問題ないではずです。
「じゃあ、行ってきます」
「ああ、行ってらっしゃい」
私はこうして朝早くにデートに向かいました。
だから、気付きませんでした。
私が出かけた直後、夏実さんから私に電話があった事に。
そして、それをお兄ちゃんが代わりに電話を受け取った事を……。




