そのごじゅうです。
「……大変な事になってしまいました」
あの後、自宅に帰った私は家の中だというのにも関わらず、深い溜息を漏らしました。
さっきの会話……。
『ええっ? つ、つつつ付き合うですか? 誰と誰が?』
『……俺とお前以外、誰がいるんだ?』
『いや、でもっ。いきなり言われても答えが出ないと言うか、何と言うか……』
『付き合うと言っても、日曜日に俺の買い物に少し付き合ってくれればそれでいい』
『私の気持ちの整理もあると……え?』
『……ん。それとも日曜日は都合が悪いのか?』
『ちょっ、ちょっと待って下さいっ。少し、時間をっ』
『? どうした、いきなり深呼吸なんてして?』
『……えっと、日曜日に夜切君の買い物に付き合えばいいんですよね?』
『ああ、そうだ』
『……分かりました。そういう事なら』
と、あの時は流れで承諾してしまいましたが、よくよく考えてみると、これって……
「……デート、ですよね」
男の人と二人っきりで買い物に行くんです。
これで、ただ買い物に行くだけとは言えません。
デート。それも私の人生初のです。
それで緊張しないわけがありません。
私はベッドに飛び込み、うつつちゃんのぬいぐるみに顔をうずめ、悶々としました。
「ど、どうすれば……デートですし、今の内に可愛い服を買っておくべきでしょうか? しかし、夜切君が普通の服でしたら私が浮いてしまいますし、逆に私な質素な服を着て行ったら、お洒落をした夜切君が浮いてしまう可能性も……それにデートって何をすればいいんでしょうか? 私は一体何をすれば……!?」
頭が混乱してきたので、私は一度大きく深呼吸をしました。
落ち着いて下さい、私。
冷静に、自分がやらなければならない事を把握するんです。
……とりあえず、私が絶対にやらなければならない事は──
「……お兄ちゃんにこの事がバレないようにする事、ですね」
失敗は血の雨となって降りかかってくるでしょう。




