そのよんじゅうきゅうです。
「……俺の勝ちだな」
「何なんですか、あの点数は」
テストの点数での勝負。
その結果は実に70点以上の差をつけられての私の圧倒的敗北でした。
「952点って……どう勉強すれば取れるんですか?」
「死にたくない、と思えば取れる」
「いや、意味が分かりません」
よく見ると、夜切君の体が小刻みに震えている事が分かりました。
良い成績を残さないと親にでも怒られてしまうんでしょうか……? あれ? でも、夜切君には親はいなかったはずじゃ……。
だとしたら、誰に?
「……それで、約束の事だが」
夜切君がその話を切り出した瞬間、私は自身の体を抱くようにしながら、その場から素早く後退しました。
「い、嫌ですよっ、ナース服なんてっ」
「……勝負の話を持ちかけてきたのはお前だろうに」
うっ……。そこを突かれるとどうにも痛いです。
夜切君の言う通り、話を持ちかけたのは私の方なんですから。
「……で、でもっ。ナース服だけは嫌ですっ。何か別の……何か別の要求にして下さいっ」
ナース服なんて物を着て、学校に登校なんてしたら、間違いなく私は家に帰って引きこもるでしょう。
「いや、お前にナース服を着せる気はない。あれは冗談だ」
「え? そうなんですか?」
意外です……そうですよね、夜切君にも学校にナース服を着させて登校させる事がどれだけ非常識か分かって──
「本当はゴスロリ──これも冗談だから、逃げるな綿々」
「そういう冗談は止めて下さいっ」
危うくこのまま逃げ出して、夏実さん達に助けを求める所だったじゃないですか。
「……本当の要求はこうだ」
夜切君は一度、咳払いをすると私に言い放ちました。
「……今週の日曜日、俺と付き合って欲しい」
「ふぇっ?」
こうして、日曜日に私は夜切君とデートする事になったのでした。




