そのよんじゅうさんです。
〜夜切 夕の場合〜
「……ふぅ」
無心でノートに英単語を書き連ねるという作業を止め、休憩に入ろうとすると目の前に緑茶が差し出された。
「頑張っているようじゃのう」
「萬……」
どうやらこれは萬からの差し入れらしい。俺はありがたく受け取ると、そのまま緑茶を啜った。
「……まぁ、明日からテストだからな」
「良い順位は取れそうかの?」
「それ、聞くか?」
「……すまぬ」
萬が頭を下げてくる。
分かってもらえたようで何よりだ。
目を当てられないような順位を取れば、いつもは温厚な綾香さんの顔が般若と化す。
なので、俺は絶対に毎日の勉強だけは欠かさずに行なうようにしてきたのだった。
「ま、まぁ、おぬしなら大丈夫じゃろ。なんだかんだでおぬしは頭が良いからの」
「なんだかんだは余計だ」
コイツは普通に人を褒められないのか。
だがまぁ、これまで必死に勉強してきたのだ。
名前でも書き忘れない限りは30番以内は固いだろう。
「……それに今は俺より、あいつの事が心配だ」
「む? あいつとは誰の事じゃ?」
「全教科赤点を取りかねないクラスの馬鹿の事だ」
「それはまた……」
勉強を教えてくれと、あまりにも泣き付いてくるので、ある程度は教えてやったが……。
「……あいつ、きちんと勉強しているだろうな……?」
その頃の古海。
爆睡中。




