そのさんじゅうきゅうです。
場所を変え、私達がやって来たのは駅前近くの喫茶店。
店内は中々お洒落な雰囲気で、店員も可愛らしいです。
……今度、蓮さんをここに誘ってみましょうか。
「ここは儂のお気に入りでの。よく夕とはお茶をしに来てるのじゃよ」
席の向かい側に座るのは温かい緑茶を啜る秋扇さん。
ちなみに私は紅茶を、夏実さんはココアをそれぞれ手に取っていました。
「はぁ……それで、夜切君についての話とは? 何かそれは重要な事だったりするんでしょうか?」
「まぁ、落ち着くのじゃ。さっきも言ったじゃろう? そう身構える必要はない、と」
「……」
何でしょう、この人は。
何て言えばいいんでしょうか……ペースが乱れる?
「儂は夕の級友をこの目で見てみたかっただけなんじゃよ。……あやつには、今まで友達どころか話し相手すらいなかったからのぅ」
「と、友達がいないー?」
秋扇さんの言葉に驚きを現したのは夏実さん。
私は夜切君からその事を聞いていたので、もう驚くような事はありませんでしたが。
「夕の両親は夕が小さい頃に死んでしまっていてのぅ。他にも色々と事情があって……そのせいであやつはずっとやきぐされていたんじゃよ」
「そ、そんな事が夜切君にー……」
事情? 前にも夜切君が言ってたような気がしますが、それって一体何なんでしょうか?
夏実さんが恐る恐る尋ねました。
「じゃあ、セクハラしてたのもそういう理由からー?」
「いや、それはあやつの純粋な趣味じゃ」
「趣味ー!?」
……何か私だけ真剣に考え事をしているのが馬鹿らしくなりました。




