そのさんじゅうはちです。
古風な女の子と遭遇しました。
「彼女ではないと? ではおぬしは夕のなんだというのじゃ?」
「いや……そもそも夕って誰ですか?」
そんな人、知りません……って、夕?
「もしかして……」
「多分、おぬしの思い浮かべた人物で間違いないのじゃよ。
おぬしらの級友、夜切 夕の事じゃ」
「や、夜切君の知り合いだったんですか?」
「知り合いというより、家族じゃな」
「「家族!?」」
まさかの家族発言に私と夏実さんも口を揃えて驚きました。
こ、この人と夜切君は一体どんな関係なんでしょうか……?
「……その様子じゃと、夕の奴は儂の事を全く話してなかったようじゃな」
はぁ、と秋扇さんはため息をつきます。
「……儂と夕の関係は後で本人から聞くといいのじゃ。それより儂が用があるのはおぬしらじゃ」
「わ、私達ですか?」
「用って、何のー?」
夜切君と何かしらの関係があるらしい秋扇さん。
そんな人が私達に何の用が……?
「いや、そんなに身構えなくても良いのじゃ。ただ、夕について聞かせてもらいたいだけじゃからのぅ」
「夜切君について、ですか……?」
「うむ。儂はそのためにおぬしらの学校に行こうとしたんじゃがの……見ての通り、迷ってしまって困っていたのじゃ」
「えっと……学校に行って、どうやって私達に会うつもりだったんですか?」
秋扇さんは本校の生徒ではありませんし、学校には入れないと思うのですか……?
「え? それは普通に黙って侵入するじゃろ?」
「不法侵入で捕まるので、それだけは止めといた方が良いですよ」
この人が道に迷ってよかった、と心の底から思いました。




