そのよんです。
駄目、セクハラ。
『変態皇帝だ!!』『早く教室の外に出なさい! セクハラされるわよ!?』『ひいぃぃぃぃっ!!』
彼の登場に、私を囲んでいたクラスメートの皆さんは虫のように散らばりながら逃走してしまいました。
へ、変態皇帝……? 呼び名といい、彼は一体……?
いえ、大体の見当はつくのですが。
『気をつけて綿々さん! そいつは変態皇帝と呼ばれる程の変態なんだ!』
それはもう聞かなくても分かります。
『わたし達、女子にセクハラ発言をするのは日常茶飯事、胸やお尻を触ってくるのはこいつにとっては挨拶みたいなものなのよ!』
それならさっさと退学するなり隔離するなりどうにかしましょうよ。
『綿々さん、逃げて! 今、そいつのターゲットは君だ!』
皆さんが何も知らない私を置いて逃げたからそうなったのでは……?
とはいえ、そんな危険人物だと分かれば、彼にわざわざ関わる必要はありませんね。
ここは逃げるにはかぎ──彼に腕を掴まれてしまいました。
凄い力です。とても振り解く事は難しそうです。
「や、やめて下さい。け、警察を呼びますよ……?」
迫ってくる彼に震える声で申し訳なさ程度に脅しますが、どうにもならないようです。
む、胸やお尻を触られるのは嫌です……!
そう私は情けなくビクついていると、彼の方からため息が聞こえました。
「……アイツらを追っ払ってやったのに、その反応はないだろ」
「え? あ……もしかして、私を助けてくれたんですか?」
こくりと頷く彼。
どうやら誤解だったようです。
「す、すいませんっ。助けてくれたのにあんな事を……」
「別にいい」
……噂や聞いた話はアテになりませんね。
彼は私が質問責めで困ってる所にわざとあんな事を言って皆さんを追っ払ってくれたんでしょう。
全く見ず知らずの私の為に。
それなのに、胸やお尻を触られるなんて勘違いを……。
自分が恥ずかし──
「で、パンツの色は?」
「一瞬でもあなたを見直した私が馬鹿でした」