そのさんじゅうよんです。
放課後になり、ほとんどのクラスメート達が帰る中、教室に残る私と夏実さんは一つの机で向き合って座っていました。
「……ふわちゃんー」
「はい」
「……遂にこの日が来たねー」
「そうですね……それで準備の程は?」
「実は、余り良くはないんだー……」
目を逸らし、答える夏実さん。
ある程度の予想はついていたこそ、やはりそうなってしまいましたか……。
「努力は、したんだよー。頑張って、頑張って……頑張ったけど、それでも駄目だったんだよー」
「……」
「本当に、頑張ったんだよー?」
「……」
夏実さんの思いを私は黙って受け止めます。
「だからね、わたしは頑張ったからもう諦めてもいいと思うんだー。わたしが出来る事じゃ……なかったんだよ」
「……夏実さん」
諦める、という言葉を発した夏実さんに私は口を開きます。
「それは口にしていけません。諦めるなんて言葉、今使うべきではありません」
「ふわちゃん、でもー……」
「まだ始まってもいないんですよ? やる前から諦めてどうするんですか?」
そうです。決して諦めるなんて選択肢はありません。どんなに絶望的な状況でも、まだ時間はあります。
「夏実さんは諦めていいんですか? 今までやってきた事をふいにしてもいいんですか? そんなの嫌でしょう? なら、頑張って──」
特に夏実さんにはまだ一週間も。
一週間も──
「──猛勉強してせめて赤点は回避しましょうっ」
「もう無理だよおぉぉぉぉっー!」
──テスト前期間があるのですから。
一学期の半ば頃。それはもうすぐ中間テストの時期でした。




