そのさんじゅうにです。
「アンタって、帰国子女なの?」
「ええ、小学生までフランスにいたのでそうですね」
「ふーん。って事はその髪ってやっぱり、ハーフ何かだから?」
「母親がフランス人でして。髪は津出川さんの言う通り、遺伝ですね」
「へー、ワタシ、フランス人のハーフって初めて見るわ」
「外人とのハーフはそこまで少なくはないと思うんですがね……」
津出川さんと雑談をしている最中、私は裏では別の事を考えていました。
ふと思ったのですが、津出川さんは私の事を名前で呼ばずにアンタで済ませています。
名前で呼ぶのが苦手なのでしょうか。しかし、それだと何だかもやもやしてしまいます。
なので、私はその事をタイミングを見計らって、指摘しました。
「あの……出来れば名前で呼んで欲しいんですが」
津出川さんは少しの間、目を見開いて驚きの表情を浮かべていましたが、
「……綿々。これでいい?」
「ふわでいいですよ」
「嫌よ。恥ずかしいじゃない」
そっぽを向いてしまう津出川さん。
むー。そういう事なら……私にだって考えがあります。
「……なら、こうしましょう。津出川さんが私の事を呼び捨てにする代わりに、私は津出川さんの事を『蓮ちゃん』と呼ぶ事に──」
「ふわって呼ぶわ。それでいいんでしょ?」
そんなに『蓮ちゃん』と呼ばれたくないんですか……。




