そのさんじゅういちです。
次の日の事です。
朝、教室に入ると、窓際の前の方の席に津出川さんの姿が見えたので、挨拶をしてみようと近寄ってみました。
「おはようございます、津出川さん」
「……? 何よ、アンタだったのね。おはよう」
津出川さんは少し遅れて挨拶した後、欠伸をしました。
「……眠そうですね。何か、夜遅くまでやっていたんですか?」
「朝が弱いだけよ。睡眠は10時間、しっかり取ってるわ」
子供ですか……という言葉を飲み込み、昨日の件について礼を言おうと言葉を切り出しました。
「携帯、ありがとうございました。津出川さんのお陰でこうして携帯が手元にあってホッとしています」
「だ、だから、アンタのためじゃないって何度言えば……ん? 何よ、そのストラップ?」
津出川さんが私の携帯に付いてある羊のストラップに指を差しました。
ああ、これですか。
「羊の『うつつちゃん』です。名前の通り、夢うつつな状態になっている羊で可愛いんですよ」
このゆるふわ感が漂うストラップ……気に入っているんですよね。
そんな羊のストラップを見せると、津出川さんに鼻で笑われてしまいました。
「ふんっ。そんな物を付けて喜んでいるなんて、アンタもまだまだ子供ね。まぁ、アンタみたいに子供っぽい奴にはお似合いの物だと思うけど──あっ」
その時、カシャと音をたてて、津出川さんのポケットから携帯が床に落ちました。
その携帯にはストラップとして、可愛らしいクマさんのキーホルダーが付いてあるのが確認出来ました。
これって、もしかして……。
私は床に落ちた携帯を見て、何故だか固まってしまった津出川さんに尋ねました。
「……クマさん、好きなんですか?」
「これは妹! 妹の物なのよっ!!」




