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そのにじゅうななです。

 それはある日の事でした。


「うーん……どこに行ってしまったんでしょうか……?」

 まさか携帯を落としてしまうなんて……気が緩んでいたんでしょうか。

「早く見つけないと向こうで探してくれてる夜切君と夏美さんに悪いですし……もう一度、あそこから──わっ!」

 前をあまり見ていなかったせいか、廊下を歩いていた人とぶつかってしまいました。

「す、すみませんっ。大丈夫ですか……?」

 私はこらえる事が出来ましたが、相手の方はぶつかった衝撃で尻餅をついてしまったようです。

 倒れている相手に手を差し伸ばそうとすると、

「ちょっと! どこ見て歩いてるのよ!」

 その前に怒られてしまいました。

 ──とてもちっちゃい女の子に。

「……!?」

 私は自分が見ているものが信じられませんでした。

 もう一度言いますが、私の目の前にいるのは9、10歳くらいのとてもちっちゃい女の子です。

 しょ、小学生がどうしてここに……?

 ここは高校であって、間違っても小学校ではないはずです。それなのにどうしてこの子は……。

「…………」

 女の子が警戒するように私をじろじろ見てきます。

 ……ああ、なるほど。そういう事でしたか。

 一つの結論にたどり着いた私は再度、女の子に手を差し伸ばしました。

「立てますか?」

 女の子はしばらくの間、警戒していたのか手に触れようとしませんでしたが、おそるおそるといった様子で私の手を握りました。

 そうして腕に力を入れ、女の子を立ち上がらせると、私は女の子に出来るだけ笑顔を作り言いました。



「案内しますよ、どこに帰るんです?」

「? 何の話よ?」

「迷子、ですよね?」

「違うわよっ!!」

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