番外編そのいち。
その帰り。
俺は二人に見送られながら帰路についていた。
綿々の兄が俺にこっそりと耳打ちしてきた言葉。
歩いている途中、その言葉が俺の頭の中で繰り返されていた。
『夜切君、ふわと仲良くしてやってくれ。聞いたと思うがふわはここに引っ越ししてきてから間もないんだ』
『ふわは色々な事を溜め込んでしまう癖があってね。ここに来て、前の友達と会えなくなって、寂しい思いをいくらかはしているはずなのにそれを絶対に表に出さない。そういう子なんだ、ふわは』
『でも君といる時のふわはそれがなかった。全くの自然体だったんだ』
『君のような存在がふわには必要なんだ。一緒にいて、ふわが気楽でいられる相手が』
正直、あんな事を言われてもどうしていいのか分からなかった。
俺は綿々に何かをするべきなんだろうか?
それなら一体何を?
「……」
分からない。
考えて、考えても分からない。
だから、それは考えても仕方がない事なんだろう。
センチメンタリズムに浸ったところで何が解決するわけでもない。
「ワン! ワンッ!!」
「……お前もそう思うか」
腕の中にいる仔犬が元気に吠える。
それが俺には同意の言葉に聞こえた。
そういえば、成り行きで連れて来てしまったが……どうすればいいんだろうか。
まさか、萬の家で飼うわけにもいかない。
……名前についても含めて、明日、綿々にでも相談するか。
取り敢えず、そうしよう。
明日が楽しみだと思ったのは……久しぶりだった。
メリクリ記念。
次回からはギャグ回が続きます。




