表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/139

そのじゅうはちです。

 自分の事を話す夜切君の顔はどこか寂しそうでした──なんて。


 もし本当にそういう風に夜切君が分かりやすい顔をしてくれていればどんなに良かったでしょう。

 どんなに夜切君は救われていた事でしょう。

 自分の事を話す夜切君の顔は無表情でした。

 自分の事だというのに他人の事話しているようで、夜切君は本当に……何も思っていませんでした。

 理不尽に対する怒りとか、家族や友人もいない悲しみとか、そんな感情をどこか捨て去ってしまったようです。

 夜切君の言う通り、これは私が気にやむべき問題ではないのかもしれません。

 ですが……。


 少し遠くまで離れていってしまった夜切君を私は全速力で走って追いかけました。

 走って、走って、ようやく夜切君の姿が見えると私はその肩を掴み、引き止めました。

 振り向いたその表情は驚きというよりは困惑に近かったです。

「夜切君っ」

「……どうしかしたか?」

「仔犬の介抱をするなら……私の家の方が近いですよ」

「は? いや、いい。そこまで世話にはなれない……」

「いいから来て下さいっ」

「お、おい」

 有無を言わさずに私は夜切君の袖を引っ張って、引きずるように来た道を引き返して行きます。

「綿々……話を」

「夜切君は最低です。初対面の人にセクハラ発言をして、クラスメートの皆さんの胸やお尻を触って……胸のサイズまで測って」

「いきなり何を……」

「熟女の方が女性じゃないとまで言いましたし、ロリコンですし、24時間、常に妙な事を考えている変態です」

「さ、流石に寝てる時は自重している」

「ですが、そんな夜切君でも……」



「私は……死んだら悲しいと思いますよ」



 夜切君の気持ちが理解出来たから、なんて思い上がった事を言うつもりはありません。

 たった一日で夜切君の気持ちが全て理解出来るわけがありませんから。

 ですが、夜切君が思ってくれる人は誰もいないと言うなら……私が夜切君の事を思いましょう。

 家族でも、友人でもない、ただの隣の席の話し相手として……私が。


 今度は夜切君の方が盛大にため息をつきました。

 そして諦めたのか、抱き抱えていた仔犬を私に手渡しました。

 私は仔犬をしっかりと抱きしめてあげました。

 とても温かいです。

「今更だが……変わった奴だ」

 いつの間にか、私達は横並びで歩いてました。

「それを夜切君が言いますか?」

「違いない。だが……」

 照れ隠しのためか、そっぽを向いた夜切君は本当に聞こえるか聞こえないくらいの小声で、呟きました。



「……ありがとう」

 最終回だと思ったか?

 残念! まだ続くッ!!


(一度やってみたかっただけなので気にしないで下さい)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ