そのじゅうごです。
それからたわいのない会話がいくつか続きました。
「あ、見えました。あそこが私が住んでいる所です」
私が指を指す方向には『笹薮アパート』と書かれた綺麗なアパートが建っているのが見えました。
「アパートか……もしかして一人暮らしか?」
「家族四人で住んでます。私の他に母と父と兄の三人です」
広い部屋のアパートですからね。四人で暮らしても何ともないんですよ。
「……俺の家、あそこからかなり近いぞ」
「近所だったんですか?」
「みたいだな」
偶然ってあるものなんですね。席が隣同士で家も近所なんて。
まるでどこかの恋愛小説のようですね。
そんな事を考えていたら思わず笑いが込み上げてきました。
夜切君と私。
自分で言うのも何ですが、全く合ってないような気がして……。
ああ、可笑しいです。
「そうです夜切君。あなたの家は──ってあれ? 夜切君はどこに……?」
気がつくと夜切君の姿が見当たらなくなってました。
もう家に帰ってしまったのでしょうか? それともお手洗いに行ってるんでしょうか?
しばらくキョロキョロと周りを見渡していると、ようやく夜切君を川の前で発見出来ました。
「夜切君……」
呼ぼうとした次の瞬間、夜切君がとんでもない行動にでました。
なんと、着ている制服をいそいそと脱ぎ始めたのでした。
「や、夜切君……?」
制服だけではありません。上に着ていたワイシャツとTシャツまで脱ぎ捨てると、夜切君は上半身をあらわにしました。
「き、きゃあぁぁぁぁっ!? ななななな、何をしてるんですか夜切君!?」
露出された上半身に私は咄嗟に目を塞いで顔を逸らしました。
い、一瞬だけですが見てしまいました……。
「何って……服を脱いでるんだが」
「い、意味がわかりませんっ」
「顔、真っ赤だぞ?」
「そこは今はどうでもいいですっ。どうしていきなり服を脱いでるか聞きたいんですよっ」
夜切君には露出の趣味もあるんでしょうか……?
それならそれで納得するんですが。
「説明してる暇はない。すまないがその服を拾っておいてくれ」
「え? それはどういう事……って夜切君? そっちは川……」
夜切君はそのまま川の中へと飛び込んでいきました。
「夜切君ーーっ!?」




