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そのひゃくじゅうごです。

 転校が決まって、私は今まで仲良くしていた友達と別れることになりました。


 友達との別れは当たり前ですが、悲しかったし、寂しかったです。

 何より──不安で溜まらなかったです。

 友達と別れ、見知らぬ土地に来て、不安がないわけがありませんでした。

 それでも学校ではその不安を隠し、学校の人達と上手くやっていこうとそう思ってました。


 転校初日。

 私がその学校に来て初めて会話をしたのはセクハラ好きな男子生徒でした。

 何をしてるのかと尋ねて「賢者タイムだ」と答えた、あの衝撃的なファーストコンタクトを私は忘れることは出来ないでしょう。

 始めはちょっとした興味からでした。

 どうして彼は皆からあそこまで距離を置かれているのか知りたかったのです。

 そして彼がどんな人物があわよくば理解したかったのです。


 私は知れば知る程、理解すれば理解する程、彼──夜切君にますます興味が湧いたのでした。


 それが恋だと、自覚をしたのは事故の一件で夏美さんに言われてからでした。

 その時から私は夜切君の傍にいると胸がドキドキしました。

 近づくと意識してしまいそうであまり近寄ることが出来なくなりました。

 面と向かって会話をすることも出来ない時もありました。


 好きでした。思いで胸が張り裂けそうなくらい、好きでした。


 胸一杯のこの感情を、好きだという気持ちを、言葉に出来ないこの思いを。

 私は、夜切君に伝えたいです。


 夜切君は自分のことが好きだと聞いてきました。

 チャンス──でした。


 今こそ、今こそ、伝えればいい。


 けれど──それは言葉に出来なければ伝わらなくて。

 いくら口をパクパクさせたところで声が出てなければ意味がなくて。

 言わなければ伝わらなくて。

 喉につっかかって。


 それでも。

 ほんの少しだけ。

 勇気を振り絞って。


 私は聞こえるかどうかも分からないくらいの声で言うのでした。




「──好きです」




 あの時から、ずっと、ずっと──。

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