そのひゃくじゅうよんです。
私の手を引く夜切君は遊園地の奥へとどんどん進んで行きます。
「や、夜切君? どこまで行くつもりですか?」
「……」
夜切君は答えませんでした。
黙ったまま前へ前へと進み、やがて小さな広場へと辿り着くと足をぴたりと止めました。
「……ここでいいだろう」
「?」
こんな人気で夜切君は何をするつもり何でしょうか?
首を傾げる私に夜切君は私に向き合うように体勢を整えました。
「……綿々」
「な、何ですか? 改まって?」
「……俺は綿々兄と話をしてきた」
「話……ですか。それは何の──」
「お前の話だ。綿々」
「え?」
「そこで、お前が俺のことが好きなんだと綿々兄がそう言った」
「…………………………………………………………………………え?」
理解が。
──理解が。
────理解が、追いつきませんでした。
「お、お兄ちゃんが……私が夜切君のことが好きだとそう言った……?」
「ああ」
「ちょ、ちょっと待ってくださいっ。え? ええっ?」
──どうしてお兄ちゃんがそのことを? ──私が夜切君が好きなことを知られた? ──いや、それよりこの状況をどうにかしないと……。──私は一体どうすればいいんでしょうか? ──夜切君はどういう意図があって今のことを私に伝えたんでしょうか? ──どうしてこのタイミングで? ──何て言えば? 何て反応すれば? ──お兄ちゃんと夜切君はどういう話をしたんでしょう?
ただただ頭は混乱して。
何を言えばいいのか、何をすればいいのか分からなくなって。
頭から煙が吹き出して。
──そして私の手が夜切君に握られました。
「……俺は、お前が俺のことをどう思っているか聞きにここに連れてきた」
そして、夜切君は真剣な表情で聞くのです。
「聞かせてくれ。──お前の気持ちを」




