そのひゃくじゅうさんです。
「兎に角、勝負はここだと私は考えるが?」
「勝負って……一体どうすれば?」
体をもじもじさせる私に上神先輩はけらけら笑いました。
「簡単だ。単純に好きだと言えばいい。それで問題はないだろうに」
「その好きだって伝えるのが難しいんですよっ」
「そんなに難しい話か?」
「だったら上神先輩も意中の相手に自分が告白するところを想像してみてください」
「ふむ……」
上神先輩は顎に手を添え、何かを想像する素振りを見せました。
〜上神の妄想〜
学校裏。
上神が壁に寄り反り、相手を待っているとついにその相手──綿々 絹が姿を見せる。
すぐに駆け寄った上神は絹に一切の躊躇いもなく自分の気持ちを伝え──
「好きだ!」
「あ、ごめん。気持ちが嬉しいんだけど、僕には妹がいるから」
──そしてすぐに振られた。
〜妄想終了〜
「……殺意が湧いてきたな。主に綿々後輩に」
「どうしてですかっ!?」
妄想の中で何があったんでしょう……?
「まぁ……私のことはいいだろう。それよりも綿々後輩が如何にして相手に気持ちを伝えるか──」
「──綿々!」
少し、離れたところから聞き慣れた声が響きました。
振り返った私の視界に汗だくの夜切君の姿が映りました。
「や、夜切君? 帰ってきたんです──きゃっ!?」
近づいてきた夜切君がどういうわけだか私の手を取りました。
「ち、ちちち近いですよっ、夜切君っ!?」
何で夜切君はいきなりこんなことを……!
私が困惑している内に夜切君は私の腕を引っぱってきました。
「……こっちに来てくれ。話がある」
「え……? 話? というより、お兄ちゃんと話していたんじゃ──」
「来てくれ」
私の言葉は夜切君の強い言葉に遮られました。
「……分かりました」
何があったかは分かりませんがこれだけ夜切君が真面目な顔をしているんですからきっと何かあるんでしょう。
そう思い私は夜切君に黙ってついていきました。




