……そのひゃくじゅうにだ。
俺は今まで一人だった。
俺に普通の感情というものがどこか欠落していたのは薄々自分でも感じていた。
友達はいなかった。
家族もいなかった。
周りに人はいなかった。
そんなある日。
高校生活が始まってすぐ、転校して来た奴がいた。
偶然にも、本当に偶然にもそいつは俺の隣の席だった。
窓の外を眺める俺にそいつは何をしてるのかと聞いてきた。
俺はいつも通りに如何にも自分らしい言葉で返した。
その言葉でそいつは俺から距離を取り、またいつもの日々が始まる。
だが、そうはならなかった。
引きながらも、呆れながらも、ツッコミを入れながらも、そいつは俺から離れようとしなかったからだ。
事あることに俺はそいつにセクハラをしたし、からかったりもした。
それでも、そいつは離れなかった。
どうしてだと俺はずっと思っていた。
どうしてはそいつは──綿々は俺とずっといるのか。
その疑問は綿々が解消してくれた。
『──私が夜切君と一緒にいたいと思う、夜切君の友人だからですよ』
友人、と綿々は言った。
友人だから綿々は俺を一緒にいてくれたし、見捨てたりしなかった。
疑問は解消された──俺は今までそう思っていた。
さっきの綿々兄の言葉が頭の中で思い浮かび上がっていく。
『いい加減、自覚をするんだ。どうしてふわは君といる時が一番楽しそうにしている? どうしてふわは君と二人で出かけた? どうしてふわは事故の時、君の元を尋ねた?』
『ふわが選んだのは君なんだ! だったら応えてやれよっっ!!』
『──君はふわの気持ちにどう応える?』
綿々兄の言葉が本当だとは誰も言ってはいない。
それなら確かめればいい。気になるのなら。
綿々が俺をどう思っているのか聞けばいい、尋ねればいい。
そうしなければ、俺が綿々の気持ちを分かることなど出来やしないのだから。
もしも、それで綿々の俺に対する気持ちが友人のものではなかった場合。
その時、俺が返す言葉なんて既に決まりきっている。
そんなものは決まりきっているのだ。
何故なら、綿々は俺とずっと一緒にいてくれた唯一の人物で──
──俺の大切な思い人なのだから。
PV25,000を突破!
最終話までトップスピードで駆け抜けていこうと思います。




