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……そのひゃくはちだ。

 ……俺の周りの奴等は皆、優しかった。

 あの事故は俺のせいではないと皆がそう言ってくれる。

 きっとそれは俺を傷つけないためなのだろう。

 だが……。


 それでも──俺は誰かが自分を責めてくれることを望んでいた。

 俺は誰でもいいから『あの事故はお前のせいだ』と言ってもらいたかったのだ。

 そうでないと……あの事故で俺は何の関わりのない無関係な人物だったかのように思えてしまうからだ。

 確かにあれは俺のせいではなかったのかもしれない。

 だが、綿々が怪我を負ったのは事実だ。

 その時、俺は何が出来た? 何を出来た?


 何も──。

 俺は何もしていない──。


 綿々を助けることも、綿々の見舞いに行くようなことも、事故で謝ることも──。


 ──俺は、何もやっていない。


 まるで部外者のように、何をするわけでもなく、ただ一人部屋に閉じこもって、綿々に何かしてやることも出来なかった。

 だから、俺は誰かに責めてほしかった。

 責任さえ負っていれば俺は部外者でなくなるから。

 本当に糞ったれた理由だと自分でも思った。


「……俺は自分勝手だ」

「何? いきなり自己嫌悪なんてして?」

 綿々兄が不思議そうな顔をして顔を覗き込んできた。

 大丈夫だ、と手を振ってみせる。

「俺が自分のことしか考えてない人間だと思ったら……ちょっと、な」

「自分のことしか考えない人間はそんなこと思わないと思うけどね」

「……いかにもありきたりな台詞だな」

 俺は自虐的に笑うと、片手で顔を覆った。

「どうして俺はこうなんだろうな……?」

 事故の時から俺は全く変わっていない。

 どうしようもなく自分のことしか考えてなくて、どうしようもなく救いようのないことばかり考える。

 結局は俺はそういう人間なのだろう。

「……自虐はよくないよ。君はふわがもっとも信頼している人物なんだから。その人物たる君が自分を卑下するなんてふわの信頼を無下にする気かい?」

「……分かってる。綿々が俺を親友だと思っていることくらいは……」

 俺もそこまで鈍感じゃない。

 事故の後、綿々の俺との接し方が変わったのは綿々が俺のことを親友だと認めてくれたからなのだろう。

 言うなり、綿々兄は深く溜め息をついた。

「君は馬鹿かい? ふわは君のことを親友なんかとは思っちゃいないよ」

「なっ──!?」

「ああ、もうっ! 鈍感もここまでくると頭にくるね!」



 なら、綿々は俺のことを──


「つまり、ふわは君のことが好きなんだよっ!!」

「──は?」


 ──どう思って、は?

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