……そのひゃくななだ。
「はい、どうぞ」
「……すまない」
綿々兄からペットボトルのお茶が差し出される。
同じくペットボトルのお茶を片手で持った綿々兄は俺の隣に座わった。
「さて……話をする前に一つ言っておきたいことがあるんだけどいいかな?」
「……奇遇だ。俺もある」
「なら、僕の方から先に言うよ」
すると、綿々兄はベンチから立ち上がり、起立した姿勢のまま俺の方に体を向けた。
「……事故の時、君にやつあたりをしてしまったことをここでもう一度謝りたい。すまなかった!」
綿々兄が頭を深々と下げる。それに習って俺もベンチから立ち上がると、綿々兄に向かって同じように頭を下げた。
「俺の方こそ……綿々に怪我を負わせるような真似をしてすまな──」
俺の言葉はそれ以上続かなかった。
何故なら頭を上げた綿々兄から軽いチョップを受けたからだ。
「何を……」
「何を、はこっちの台詞だよ。ふわに言われたんだろう? あの怪我の原因は自分自身にあるって」
「俺は……そう思ってはない」
「君があのことについて、どう思ってるかなんてどうでもいいよ。ただ、僕もふわに言われちゃったからね。『あの事故で私が怪我をしたのは、あくまで私の責任で、私が勝手に行動して、怪我を負ってしまっただけです。だから夜切君は関係ありません』ってね」
「……」
「ふわにそう言われた以上、君があの事故は自分のせいだと言うのを否定してあげなきゃ、ふわに嫌われちゃうんだよ。だから僕は君に言うよ」
「──君は悪くない」
「……」
「悪いのはふわが怪我をしたのは全部夜切君のせいだと責任を押し付けた、あの時の僕の方だよ。あの時の僕は……本当に最低だった」
「皆……俺には責任がないって言うんだな」
「え?」
「いや……何でもない」
俺は軽くそっぽを向いた。
……どうにもバツが悪い。




