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そのじゅうにです。

 授業は体育です。


 必死に腕を振り、足を上げ、息を切らしながら私はゴールまで走り抜きました。

「綿々さん、9.4秒」

 体育教師の草野先生が読み上げたタイムは女子の平均タイムからしても決して早いものではありませんでした。

 ううん……これは酷いですね。

 50mを全力で走っただけで息が完全に切れていますし、どれだけ自分が体力がないのかが思い知らされます。

「ふわちゃん、大丈夫ー?」

「ええ……」

 タイムを計り終わり、校舎に戻っていく途中、夏実さんが私を気にかけてくれました。

 ちなみに私の前に走った夏実さんは7.3秒という驚異的なタイムを叩き出していました。

 おっとり草食系に見えて、実は肉食系だという夏実さんは運動がかなり出来るようです。

 同じ距離を走ったというのに、私と違って全然息を切らせていませんし。

「三日分くらいのエネルギーを使ってしまったようで……全身が怠いです」

「あははー。何だかフルマラソンをやり終えた人みたいだよー?」

「私にとっては50m走はフルマラソンと同意義なんですよ……」

 とはいえ、苦手だからと言って蔑ろにしていいわけではありませんよね。

 今度、ランニングでも始めてみましょうか。

「でも、もう7時間目だから、これで今日の授業は終わりだよー。ね、ふわちゃんはこの後、予定とかあるー?」

「特にはありませんが……」

「なら、ソフトボール部を一度、見に来てよー。わたし、ソフトボール部に入ってるんだー」

「分かりました。それなら、一度見に行きますよ」

「やったー」

 そんな風に会話を続けていると、少し離れた所で男子の皆さんが何やら騒いでいるのが聞こえました。

「男子の皆さんはサッカーのようですね」

「みたいだねー。あ、夜切君だー。何か凄く真剣な表情をしてるねー」

「? 夜切君はサッカーがそんなに好きなんですか?」

「違うと思うよー。あれは……」


「はぁ……はぁ……」

「…………!」


「こっちで走って横揺れする胸をガン見してるんだと思うよー」

「あの、ボールが横を通り過ぎていったんですが、いいんでしょうか?」

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