そのきゅうじゅういちです。
蓮さんの過去を聞いた後、私達は当初の目的地である手芸部の部室にようやく辿り着きました。
「……長かったわね」
「ええ、長かったです……」
私も蓮さんも疲れを隠し切れていませんでした。ただ部活動の見学をするだけだったはずだというのに、どうしてこんなにも……。
「まぁ、取りあえずとっと用を済ませちゃいましょうよ」
「そうですね」
蓮さんが部室のドアノブを捻り──
「ん?」
──蓮さんは、首を傾げました。
そうして、ドアノブをがちゃがちゃと何回か捻った後、私の方に体を向けました。
「どうしたんですか、蓮さん?」
「どうしたもこうも……開かないのよ」
「開かない? ドアがですか?」
「それ以外に何があるって言うのよ」
お手上げ、と言わんばかりに蓮さんが両手を上げました。
「部活動、今日はお休みなんでしょうか?」
「それだったら最悪ね……」
私達がどうしようかと唸っていると、後ろから肩に手を置かれました。
振り返ると、そこには、
「やぁ、ふわ。何か困り事かな?」
「あ、お兄ちゃん」
何故かお兄ちゃんがいました。
「どうしたんですか、こんなところで?」
「それはこっちの台詞だよ。先生に頼まれ事をされたんだ。それが終わったから帰ろうとしてたんだけど……見ての通りふわを偶然見つけたってわけさ」
「私は蓮さんと部活動見学に来ていたんです」
「蓮さん? ……ああ、そっちの子かい?」
お兄ちゃんは蓮さんを見ると、極めて自然に手を差し出しました。
「初めまして。僕の名前は綿々 絹。ふわとは随分仲良くしてもらってるみたいだね。兄として、これからも頼むよ」
「津出川 蓮よ。こちらこそ、よろしくたのむわね」
蓮さんも釣られて、手を差し出し……
「で、君は小学何年生だい?」
「高校一年生よっ!」
……その手を思い切り叩きました。




