そのきゅうじゅうです。
「……って、話よ」
蓮さんが話を終えると、私は思わず拍手をしました。
「……そんなに面白い話だったかしら?」
「いえ、いい話だったと思います。これぞ恋愛、って感じでしたよ」
聞いていて私までドキドキしましたしね。
「ですが……いい話だっただけに最後が切ないと思いました」
「現実の恋愛なんて、そんなものよ。仮想のように全てが上手くいっていたら、世話がないわよ」
「それはそうかもしれませんが……蓮さんはその人に会いたいんでしょう?」
好きだと言いたいはずなのに、会う事すらままならない。
そんなのって悲しいじゃないですか。
「そうね。……確かに、会いたいとは思ってるわ」
「だったらーー」
探しましょうよ、と言う私の言葉を蓮さんは遮りました。
「無駄よ。いくら探したって見つからないわ」
「どうしてですか? 顔は覚えているんでしょう?」
「小学生の話よ。本人の面影くらいしか残ってないわよ」
「で、ですがっ」
「あたしがいいって言ってるの。それ以上、他人が口出しするっていうのは無粋以外の何物でもないわ」
……そう言われてしまえば、私には何も言う事が出来ません。
「……それに探さなくても、あいつにはいつか会えるような気がするのよ」
「え?」
「ただの勘よ。でもね……」
「名前も知らない昔に会った人物と互いに大きくなった頃、再会するって……何だかロマンを感じない?」
そう言って、蓮さんはとびっきりの笑顔を見せました。
ロマン……ですか。
あまり聞かない言葉なのですが、私には意味がよく分かりません。
いつか分かる日が来るんでしょうか?




