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番外編 そのじゅうさん。

「つまり、蓮さんはその名前も知らない人が好きだったという事ですか?」

「まぁ……そうね。それに気づいたのは随分後の話だったけど」

「……告白、しなかったんですか?」

「そんな事、考える事もしなかったわよ。あたしはあの時、あいつと喋ればそれでよかったんだもの」

 本当に……それでよかったのにね。

 あたしが憂いに満ちた表情をしていたからか、ふわがちょっとだけばつの悪そうにした。

「さて……続きね。と言っても、もう簡単な結末だけだけど」



 ※※



 いつの日か、あいつは何故か河原に来なくなっていた。

 どうしてかは分からなかった。

 あたしはあいつに酷く裏切られたような気がした。

 何も言わずに去るなんて酷いと思った。狡いと思った。最低だと思った。

 けど、それ以上にあたしは……


 ……寂しかった。


 あたしは一人、河原で泣き続けた。

 もうあたしの話を聞いてくれる人は隣にいない。この悲しいと思う気持ちも誰にも伝わらないと思うと余計に虚しく思えて、更に涙を零した。

 イジメも、もう全然平気じゃなかった。

 身体も心もボロボロだった。

 そしてある日、怪我を負ったあたしに気づいた両親はあたしがこれ以上傷付かないようにか転校させることにしたらしい。

 転校してからしばらくして、あたしはあいつの事が堪らなく好きだった事にようやく気づいた。

 ……全ては後の祭りだったけれど。



 これはずっと前の話だ。

 だけど、もしものことを言うなら……あたしは今でもあいつに会いたい。

 会って、どうして急にいなくなったのか聞きたい。

 そして──






 ──好きだと確かに伝えたい。

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