転移魔法
「元魔王・・・ マルさんはこの杖が話すって言ってたのか?」
「はい~ そうですよ~。この杖を貰う時に~ 言ってました~」
「でもリリアは話せないんだよな? 何か特殊なアイテムとかが要るのか?」
「いえ~ この杖の言葉が~ 解る人が~ 次の魔王みたいですよ~」
「なるほど・・・ 次の魔王か・・・ ん? って事は、俺?」
「ですね~」
いやいや、俺が次の魔王って・・・。
今の魔王も居るし!
あれ? 今のは超魔王か?
『超』って事は別物って事か?
う~ん、よく分からん・・・。
「ご主人様がそれを望むなら・・・」
俺が考え事をしている時に、何かを決意したように、レイがつぶやく・・・。
「主様の為なら・・・」
アマネもレイと同じようだ・・・。
「マスターが次の魔王ですか? ハーレムルートですか?」
カーラは何か勘違いをしているようだ・・・。
後でしっかりと教えないとな・・・。
「アキラさんが魔王・・・ それなら大丈夫かな?」
クリスは少し安心したような表情をしている。
「アキラさんが魔王で・・・ 魔王がアキラさん・・・?」
アイシャは少し混乱しているようだ。
「何か皆が勘違いをしているようだが、俺は魔王にはならないぞ・・・」
「「「え!?」」」
「え!?」
全員の驚き具合に俺が驚いた。
「そもそも、俺はこの杖に拒否されたんだから、魔王にはなれないだろう?」
リリアが持っている杖を指差しながら言った。
バチッ っとされて、痛かったんだよ・・・。
「「「!?」」」
全員が納得したような表情に変わる。
気付いて無かったのか・・・。
「まあ、納得してくれたから、この話はいいとして・・・ ちょっとリリアに色々と聞きたい事があるんだが・・・?」
「いいですけど~ そろそろ家に戻りませんか~?」
「あ~ そうだな・・・ ここに居ても仕方が無いし、そうするか」
木々の隙間から見える空を見ると、日が傾いて空がオレンジ色になっていた。
戦闘や封印なんかで結構時間が経っていた。
「それでは~ 私の傍に来てくださ~い。魔法で帰ります~」
そう言われて俺達はリリアの周りに集まった。
「みなさ~ん 忘れ物は無いですね~?」
皆の顔を見ると大丈夫そうだった。
そして、リリアの方を見ると魔法を使う所だった・・・。
『聞くだけ聞いて返事を待たないのか!』
と思わずツッコミそうになるが、魔法に集中しているのを邪魔するのはダメな気がしたので我慢する。
転移に失敗して、某映画の様にハエとかと合成されても困るしな・・・。
「行きま~す テレポート」
リリアの転移魔法と同時に、地面が無くなる感覚があった。
飛んでいるようであり、落ちているかのような不思議な浮遊感があり、視界が一瞬暗転したかと思うと、リリアの城の門が目の前にあった。
「お!?」
急に地面が無くなって力が抜けた時に、地面が現れたので少しよろけてしまったが、何とか耐える事ができた。
「「わ!?」」
俺の後ろに居た、クリスとアイシャは俺と同じように体勢を崩したが、立て直せずにペタンと座り込んでしまった。
レイとアマネとカーラは知っていたのか、転移前と変わっていなかった。
知ってたら言って欲しかったな・・・。
「大丈夫ですか~?」
「「は、はい 大丈夫です・・・」」
リリアはクリスとアイシャに心配そうに声を掛けるが、二人は少し恥ずかしそうに返事をしていた。
「メイドさんは準備お願いね~♪」
クリスとアイシャが無事だと分かるとリリアは、メイド二人と犬を城へ戻らせた。
準備? お茶の準備か?
「それじゃあ~ みなさんは~ 汗を流してから~ 食堂へ来てくださいね~」
あ・・・ うん、そうだな。
汚れたまま話すより、サッパリしてから話す方がいいよな・・・。
って事は、さっきのは夕飯の準備か・・・。
リリアの言った通りに、俺達はお風呂でサッパリする事にした。
風呂場は1つしかないので、俺が先に入ってから、女性達が入った。
リリアは『一緒でもいいですよ~』とか言っていたが、流石にクリスとアイシャが居るのに入れ無い。
二人はリリアの提案を聞いて顔を真っ赤にして俯いていたので、遠慮しておいた。
なんだか勿体無い事をした気もするが、これは仕方が無い事だ。
もしそんな状況になったら、俺の一部分がとんでもない事になって、二人にもエッチな事をしてしまうかもしれない。そうなったら、あの王様は間違いなく軍隊やアサシンを差し向けて来るだろう・・・。
俺達が食堂に揃う頃には、テーブルの上に料理が並んでいた。
強敵のケルベロスとの戦闘があり、すっかりお腹が減っていた俺達は、たっぷりと食事を楽しんだ。
明けましておめでとう御座います。
新年最初の投稿となります。
年末年始で書き溜める予定でしたが、予想以上に忙しくて溜まりませんでした・・・。
結局今までと同じペースになりましたが、これからも気長にお待ちください。




