翌日
日が昇り目が覚めた。
ベッドの上には俺一人だった。
夕食の時と同じで、女子達で就寝するとの事だった。
少し寂しいが特に反対する理由もないため、俺は一人で朝を迎えた。
「ふぅ・・・ 朝か・・・」
しばらくベッドでゴロゴロしてから、起き上がる。
「うぉ!」
起き上がって部屋を眺めると入口の所にメイドが立っていた。
リリアが解放されて敵対関係では無くなったとはいえ、昨日まで戦闘をしていた相手だ。
言うなれば、寝起きドッキリを受けた気分だ・・・。
俺が目覚めた事に気が付くと、彼女? は紅茶を一杯煎れてくれた。
「あ、ありがとう・・・」
爽やかな香りと甘みをしていた美味しいお茶を飲んで、カップを渡しお礼を言うと、メイドは一礼をして部屋から出て行った。
身支度を済ませて、食堂へ向かうと・・・。
メイド、メイド、メイド、メイド、執事、執事、執事が食事の準備をしていた。
昨日の晩より明らかに増えている・・・。
俺に気付いた執事が、椅子を引いて席はここですよ。とアピールしていた。
まあ、執事達を見ても『魔動執事』とか名前が出ないので、モンスターと違う存在になったのだろう・・・。
テーブルへ案内? されて、落ち着かない時間を過ごす。
「あ! おはようございます。アキラさん」
「おはよ~ ございます~」
「おはようございます」
「キュイ~」
「ご主人様、おはようございます」
「おはようございます。主様」
「マスター おはようございま~す」
「みんな、おはよう」
しばらくすると、クリス達が食堂へやって来た。
夜の間に親交を深めたようで、仲良さげな感じだった。
全員が揃った所で、朝食が席へ運ばれて来た。
昨日の食材とは違い、新鮮な魚や肉が料理の中にあるのが分かった。
「この魚とかはどうしたんだ?」
「あ~ これはですね~ メイドさん達に~ 獲ってきてもらいました~♪」
「もしかして、そのために増やしたのか?」
「はい~ 他にも用事を頼みましたから~」
「用事?」
「はい~ 周りにいるモンスターの退治と~ 魔瘴石の捜索です~」
「魔瘴石? ってなんだ?」
「あれ~ アキラさんも知りませんか~?」
「いや・・・ 聞いた事が無いな?」
「そうですか~ 魔瘴石は魔神さんが造った~ モンスターを生み出す石ですよ~」
「モンスターを生み出す石だって!? そんな物があるのか?」
「はい~ 世界中にありますね~」
「それを壊すのか?」
「壊したらダメですよ~ 瘴気に汚染されて~ 人が住めない土地になりますよ~」
「じゃあ、どうするんだ?」
「封印して地中深くに沈めます」
俺の疑問は右斜め前に座っていたクリスから返答があった。
「クリスはこの話を聞いたのか?」
「はい、昨日の夜に聞きました」
「壊すのがダメなら封印するのは分かるが、地下に埋めるのは何でなんだ?」
「地中の奥深くに沈めると、モンスターが発生しても、そこには留まる隙間が無いので、存在を固定できずに消えてしまうらしいです」
クリスはリリアの方を向いて、リリアに聞いた事を俺に話してくれるが、語った当人のリリアは食事に夢中になっていて、聞いて無かったようだ・・・。
クリスの間違って無いですよね? という視線に気づいていなかった。
まあ、よく言う『石の中にいる・・・』って事だろう。某ゲームではあまりにも衝撃的な出来事として語り継がれているからな・・・。
「魔瘴石がどんな物か分かったが、見つかったのか?」
「はい~ 外の森にありました~」
今度は食事に夢中になっていたリリアが答えた。
どうやら、話を聞いていなかった訳では無いようだ。
「それで封印は?」
「準備をしてからだと~・・・・・ 昼ぐらいからですかね~?」
「昼からか・・・ それはいつ終わるんだ?」
「え~と~・・・ 明日の~ 昼ぐらいですか~?」
俺の疑問に、リリアは疑問で返してきた・・・。
「リリアしかやった事ないから、アナタしか分からないわよ」
「あ~ それもそうですね~・・・ 何事もなければ~ 大体1日程ですよ~」
「1日か・・・ ってそろそろ帰らないと、クリスは遺跡の調査に間に合わなくなるんじゃないか?」
「明日の昼だったら、ギリギリ間に合いそうですよ」
「いや、ギリギリじゃ厳しくないか?」
「大丈夫ですよマスター♪」
「ん? カーラどういう事だ?」
「私を使えば、転移魔法が使えますから♪」
「転移魔法だって!? そんな便利な魔法があったのか?」
俺がゲームをしていた時には存在しなかった魔法だった。
新しく追加された魔法なのだろうか?
「今では失われた魔法のようです。私が調査した資料に記述はありましたが、今では存在しない魔法だったので、確認ができていませんでした」
「そんな魔法使って大丈夫か?」
「魔法の全盛期に~ 使っていたので~ 大丈夫ですよ~♪」
「どうやら、当時の王家が使用者に罰則を設けて、消えていった魔法のようです」
「便利な魔法なのに罰則を付けたのか?」
「何でも暗殺に使われた事があったらしくて・・・」
「なるほど・・・ いきなり対象者の近くに現れて攻撃されれば、対応できないままヤられてしまうだろうな・・・」
「はい・・・ 一応、魔法が載った書物が保管されているらしいですが、私も見た事がありません・・・」
クリスが見た事無いのなら、一体誰が見れるのだろう・・・。
一応、っというか、れっきとした王女の立場にあって、考古学のような研究もしているクリスが見れないなら、今では片手で数える事が出来る人数しか、見る事ができないのかもしれないな・・・。
主に、国王とか上位の研究者とかだろうな・・・。




