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魔女の城⑤

 クリスのためのアイテムがある最後の場所である地下室へやってきた。

 地下室といっても部屋は一つでは無く、結構な広さの部屋が4つある。

 1階から降りてきた部屋が一番大きくなっており、階段の正面に1つと左右に1つずつの計4部屋となっている

 各小部屋には宝箱が1ずつと、今まで手に入れてきた水晶を置く祭壇に似た台が設置されている。


「ここで一応最後の探索場所になるな。後は俺の欲しい装備がある場所に行く事になるけど大丈夫か?」

「構いませんが、どんな装備なんですか?」

「水龍の神殿にあった『龍波りゅうはの杖』と同じような物で、凄い魔法が使えるようになる杖だ」

「そんな物がここにあったのですか・・・」

「ちょっと強いボスと戦うから、戦闘が心配なら後で俺達三人で取りにくるけど?」

「いえ、大丈夫ですから、このまま行きましょう」

「カーラさんは大丈夫?」

「私は大丈夫ですよ、アキラさんが守ってくれるのでしょう?」

「まあ、俺だけじゃ無く、皆でですけどね」

「お願いしますね♪」

「じゃあ、左の部屋から入って時計回りで探索するか」

「「はい」」

 このまま先へ進む事が決まったので、必要な作業をするために部屋を回って行った。


 左側の部屋では宝箱に『魔女の瞳』が入っていた。

 魔女の瞳は指輪で装備者の消費MPが4分の1になるレアアイテムだ。見た目は金のリングに真っ黒い宝石が嵌っており、宝石を覗き込むとネコの瞳のように見える。俗に云うキャッツアイのような感じだ。実際の魔女がそんな瞳をしていたのか知らないが、指輪の名前がそうなっているから、そうなのだろう・・・。

 そして、アイテムを手に入れたら祭壇に青水晶を乗せる。乗せる場所は決まっておらず、何色を乗せてもきちんと作動する仕掛けとなっている。


 続いて、正面の部屋を探索した。

 宝箱には、白水晶が入っていた。3つの水晶を設置した後に必要となるアイテムだ。

 そして、祭壇に赤水晶を乗せて次の部屋へ向かった。


 最後の部屋には、宝箱に『吸魔の指輪』があった。

 吸魔の指輪は敵の放った魔法の魔力を一部吸収する事が出来る。そのため魔法攻撃を喰らうとMPが回復する。相手の魔法が強いほど回復量が大きくなるのだが、その分喰らうダメージも大きくなるので、あまり使い勝手の良い物では無い。

 喰らうとかなり痛いので多分、使わないだろう・・・。

 そして、残る緑水晶を祭壇に乗せて、階段のある大部屋に戻った。


 大部屋に戻ると部屋の中心部分に小部屋にあった祭壇が出現していた。



「ここにさっき手に入れた白水晶を乗せると、ボスの部屋へ行く事ができる。準備は良いか?」

「「はい!」」

 全員の返事を聞いてから、祭壇へ白水晶を乗せる。

 すると転送魔法陣が現れた。

 皆の方を見て、全員が頷いた。

 皆の意思を確認してから、魔法陣へ入り転送される。


 転送された場所は玉座の間であり、大きな部屋で天井も高く、豪華なシャンデリアや燭台などが設置されていた。唯一その場に相応しく無いような物があった。それは玉座の手前に大きな黒い水晶玉のような物が浮いていた。

 ソレはある物を動かすために、魔力を自動で生成する装置だった。

 もちろんそんな重要な設備には、自己防衛システムが搭載されている。しかも、魔法攻撃が全く効かない厄介な仕様となっている。

 俺達が近付くと黒い水晶玉『魔生成コア』の周囲に、魔動メイドなどが次々と出現してきた。


「来るぞ!」

 声を上げて全員に注意を促し、戦闘開始の合図とした。

 作戦は前もって伝えてある。『俺がコアを倒すから雑魚を頼む』といった単純明快な作戦だった。

 俺は迷工めいこうが造った名包丁を2本装備して、二刀流で攻撃力を上げてコアを狙う。

 レイとアマネは魔剣を装備してクリスとアイシャとカーラの護衛とザコモンスターの数を減らす。

 クリスとアイシャはレイとアマネの攻撃を抜けてきた、モンスターを倒す。マコちゃんは的確にサポートをしていた。クリス達に攻撃が当たりそうになると、魔法で壁を作ってガードしたり、クリスの魔法で倒せない時には追加の攻撃魔法を使って止めを刺したりと、かなり戦闘で重要な役割を担っていた。流石は聖獣といった所だろう。

 カーラは戦闘中には戦力にならないが、全体を見ていて攻撃の来るモンスターを教えて注意を促していた。


 俺は真っ直ぐにコアに向かって接近して、進路上にいるモンスターを魔法と包丁で蹴散らして進んだ。

 コアの所に接近すると、コア自体の魔法攻撃がきたが、喰らったダメージを回復魔法で瞬時に回復しながら包丁で斬りかかった。


「クロススラッシュ!」

 ビシッ・・・


「もう1回! クロススラッシュ!」

 バシィッ!


「止めの! クロススラッシュ!」

 バリィィィィン・・・・・


 俺の二刀流スキル3連発を受けた魔生成コアは粉々に砕け散った。

 そして、魔力の供給が止まった魔動シリーズは、その場でただの人形のように横たわっていた。

 コアが消滅した跡に残った物は、紅の魔石が嵌った『紅炎こうえんの杖』だった。



「みんな無事か?」

「はい、大丈夫です。ご主人様!」

「流石、主様ですね。ボスを簡単に倒すなんて」

「マコちゃんが守ってくれましたから」

「アキラさんは大丈夫ですか? 魔法を受けていたようですが・・・」

「俺はすぐに回復していたから平気だ・・・ あれ? カーラさんは?」

「ここにいますよ」

 俺が倒したコアの所に、いつの間にかカーラが居た・・・。


「大丈夫ですよ皆さんが守ってくれましたから・・・」

「全員無事で良かった」

「この杖がアキラさんが欲しかった杖ですか?」

「そう紅炎の杖といって、太陽の炎を呼び出して焼き尽くす『バーストフレア』が使えるようになる」

「それは・・・ 熱そうですね・・・」

「タイダルウェイブと同じでモンスターだけ攻撃する魔法だから、大丈夫だと思うがちょっとは熱いかもな・・・」

「帰り道に1回使ってもらってもいいですか?」

「そうだな、試しに使ってみた方がいいよな」

 俺とクリスが杖について話をしていると、その様子をカーラがまじまじと見つめていた。


「なんでしょうカーラさん?」

「あ、いえ、アキラさんは何でも知っているだな、と思いまして♪」

「まあ・・・ 色々あったからな・・・」

「その話は追々聞かせてもらいましょう♪ それと、アキラさんにお礼を申し上げます」

「何を突然改まって・・・」

「いえ・・・ 私の目的がほぼ達成されたようなものですから♪」

「目的? ほぼ?」

「そうです。そのお礼にアキラさんの探していた場所をお教えします♪」

「今ですか?」

「そう・・・ 今です。その場所とは・・・」

「場所とは?」

「ココです♪」

「は?」

 ここが俺達が探していた場所だって?

 もしそうなら、レイとアマネが何か感知して俺に言ってくると思うのだが・・・ 本当か?


「ムゥ・・・ 信用してませんね? ならお連れしましょう! 『魔杖まじょうカドゥケウス』の封印された場所へ!」

 カーラはそう言うと、コアがあった場所にいつの間にが出現していた祭壇へ『黒水晶』を置いた。

 そして、俺達全員(・・)が魔杖を守るガーディアンの居る場所へ強制的に転送させられた。

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