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魔女の城へ③

 バリビュート達は全部で4匹いる。

 バリビュートの他に、一際大きいのは『ギガントオーガ』、上級魔法を使う『ハイヴァンパイア』、バリビュートの側近である『側近A』だ・・・。あれ、側近Aって名前無かったっけ?

 俺の目には側近Aとしか見えない。確かゲームでもそうだった記憶が・・・ そうか不憫だな・・・。


 ギガントオーガは、魔王軍の最上位種のオーガで高い攻撃力と防御力を持っている。身体も大きくこっちの剣が届く範囲まで近付くのが難しいモンスターだ。

 ハイヴァンパイアは、魔王軍の最上位種のアンデットで高い魔力と回復力を持っていて、上級魔法も使いこなす厄介なモンスターだ。

 側近Aは言葉が話せる数少ないモンスターだが、説得は無理なので意味が無い。名前が無い可哀そうなヤツだが、そこそこの強さを持っている。ギガントオーガとハイヴァンパイアより少し強いぐらい。


「ここでアナタ達に死んでもらって、私の気持ちをスッキリさせてもらうわ! メット! やってしまいなさい!」

 自分で来ないのかよ! って側近Aは『メット』って名前か・・・・・ お! 側近Aの名前が『メット』に変わった! なるほど・・・ 名前が判ると更新されるのか・・・ でもあんまり必要無いかな? 倒すし・・・。


「お任せください!」

 メットはそう言って、構える。残りの2匹も戦闘態勢になったようだ。バリビュートは下がって3匹から距離を取って少し浮かんでいる。


「レイはヴァンパイアを頼む。アマネはオーガの方だ。2匹共強力なモンスターだから注意してくれ。クリスは二人の援護を、アイシャはクリスとカーラさんを守ってくれ。俺は残りの2匹だ!」

「「はい!」」

 素早く全員に指示を出して戦闘に突入する。

 あらかじめレイには魔剣を、アマネには神刀を渡していたので二人は全力で戦う事ができる。


 クリスがアイスニードルで、オーガの突進を止める。その間にアマネが接近するが、オーガは手に持ったトゲトゲの金属の棒を振り下ろす。だが、アマネが水を纏わせたアマノムラクモは、金属の棒を音も無く切断する。武器が無くなって殴りかかってきた手や、踏みつぶそうとした足を切断して、最後には首を落として倒した。

 レイはレーヴァテインでヴァンパイアが放つ魔法を次々消して近付いて行く。クリスはヴァンパイアが集中できないように、ファイアニードルで牽制をしてレイのサポートをしている。剣の間合いに入ったレイは、白い炎でヴァンパイアを真っ二つにして、強力な回復力を上回る全てを焼き尽くす炎で灰にした。

 俺はサンダーバレットをメットに放ちながら近付く。メットは魔法防御が高いのか防いでいるが、防御に集中しているので攻撃はこない。俺は剣の間合いまで近付き、居合抜きを放つ。そして、メットの首を一閃して落とす。


 一瞬の攻防で3匹を片付けて、残るはバリビュートだけ・・・。

 あれ? いない・・・。

 周囲を探すが見当たらない・・・。


「逃げてますよ・・・」

「え!?」

 カーラの指差す方向を見ると確かに、さっきまでいたバリビュートが遠ざかっていた。


「ちょっと、もうやられちゃったの! 早すぎよ! アンタ達の相手は今度してあげるわ! 覚えてなさい!」

 何とか叫び声が聞える距離まで逃げていたバリビュートは、捨て台詞を残して逃げて行った。

 残念ながら攻撃が届く距離ではなさそうなので、逃げられてしまった。

 仕方が無い。次こそやって(・・・)やろう。フフフ・・・ っと、なんだか悪役になってきた。少し自重しよう・・・。



「さて・・・ この魔女の城の結界だが、とりあえず壊すか・・・」

「壊せるのですか? バリビュートは壊せないと言っていたようですが?」

「一応、一つだけ方法があるんだ」

「そうなのですか?」

 クリスは納得のいっていない顔をして、俺を見ているが魔剣レーヴァテインのスキルを使えば、魔法を解除する事ができる。


「アキラさん! これを使ってください」

 カーラが一つの水晶玉を俺に差し出してきた。


「これって・・・・ !? 『魔女の水晶玉』なんで? カーラさんが?」

「今日のために仕入れておきました」

「仕入れるって・・・ どうやって・・・?」

「色々と・・・ 伝手があるんですよ!」

 カーラから渡されたのは、魔女が作ったと云われる水晶玉で、これを持つ者だけが結界を越える資格があると認められるアイテムになっている。本来なら別のダンジョンで入手するしか方法が無いはずだが、どんな伝手があるのだろう・・・。


「まあ、これで問題無く入れるから行くか!」

「「はい」」

 俺が結界の前で魔女の水晶玉を頭上に掲げると、水晶玉が光を放ち砕け散った。そして、その破片が俺達に降り注ぎ全身に光が行き渡る。光が消えると俺達は結界を越える資格を手に入れた。

 はずだ・・・。


「よし行こう・・・」

 ゆっくりと魔女の城の門へ進む・・・

 結界の前に立って、少し深呼吸をして進む・・・

 何かフワッとした感触があって、結界を抜けた。

 目の前には城の大きな門があった。

 門を開けて中に入り、大きな空間に出た。

 フゥー 一息ついて、無事に全員結界を抜けた事を確認して安心した。


「あ! そういえば言い忘れていましたが、あの水晶玉が無いと占いができませんので、アキラさん! 責任取ってくださいね♪」

「は!?」

 そんな事は、使う前に言ってくれ! と思わず叫びそうになった・・・。

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