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魔女の城へ②

 坑道の出口の崖から細い道を下り、森の入口に着いた。

 この森には迷いの魔法が掛かっていて、正解のルートを通らなければならない。間違ったルートを通るとモンスター部屋へ強制招待され、モンスターを倒すと入口へ戻されるようになっている。

 正解ルートにはモンスターは出現せず、魔法植物が生えており入手する事ができる。今後のためにも入手するのが良いだろう。

 だが一つ大きな問題がある。俺はどれが魔法植物なのか判らない。引っこ抜いて手に持つと名前が表示されるが、生えている状態ではどれがどれだか・・・。


「カーラさん、魔法植物に詳しいですよね?」

「そうですね~ 昔に少し勉強した事がありまして・・・ それが何か?」

「いえ、これから家で栽培しようと思うんですが、俺はどれが魔法植物か判らなくて・・・」

「ああ! なるほど! では、私が見つけたらアキラさんに教えますので、回収していってください」

「ありがとうございます。助かります」

 これで大丈夫そうだ。この魔女の城周辺や他の上級ダンジョンでしか、手に入らない魔法植物があるので入手しておく方が良いだろう。何回も来たくないしな・・・。


「それじゃあ行くか」

「「はい」」

 俺達は森を進んだ、正しい道を間違える事無く。

 進んで、魔法植物を引っこ抜いて・・・ 進んで、魔法植物を引っこ抜いて・・・ と同じ工程を何度か繰り返して、飽きてきた頃にようやく森を抜けた。凄い地味だった・・・ 戦闘も無いから単調な作業になっていた。カーラが魔法植物を見つけて、俺が袋に入れるだけの簡単なお仕事でした・・・。

 こういう単調な作業はすぐに飽きるから、採取クエストとかは嫌いなんだよな~・・・。

 まあ、それにしても結構な種類が集まったから「頑張った! オレ!」と自分を褒めておこう。



 森を抜けて魔女の城へ向かって進むと、城の全容が見えてきた。

 大きさはかなり大きく、部屋数も多く探索には時間がかかるだろう。外観は濃い紫色の屋根をしていて、壁は薄いグレーをしている。壁の所々にトゲトゲの葉っぱをしたツタが覆っており、如何にも何か出そうな雰囲気を醸し出していて、リアルでは心霊スポットとして有名になりそうな感じだ。

 更に城へ近付くと、壁や屋根には汚れなどは付いておらず、綺麗なままだった。何かの魔法が掛かっているのだろうか・・・。


「ようやく目的の場所へ来たが、これからが本番だから気を引き締めて、がんば・・・・ ん?」

「どうかしました?」

「いや・・・ 何か聞えた気がしたが・・・」

「モンスターですか?」

「まだ、分からないが、他の冒険者の可能性もあるな・・・ 慎重に近付こう」

 正体が分からないので、周囲を警戒しながら城へ近付いて行く。

 少し近付くと、それは人の声だと分かった。ただ何か叫んでいるようだが・・・。


「・・・・っと、なんなのよ! ・・・・・は!」

 更に近づいて少しずつ内容が聞き取れるようになってきた。

 そして、その叫んでいる人物の姿も見えてきた。


 ・・・・うん。モンスターだ殲滅しよう!

 そこに居たのは、魔海将バリビュートだった。海の将が山に居るのはどうかと思うが、居るのなら仕方が無いから倒そう!

 と思ったが、一体何をしているのか気になるし、少し観察をする事にした。

 ゆっくりと慎重に近付いて、会話が聞き取れる距離まで接近できた。

 かなり怒っているようで、周囲の警戒が甘くなっているようだった。


「この! この! この! 何って頑丈な結界なの! こんだけやっても壊れないなんて! 信じられない! ホントに人間が作ったの!?」

「バ バリビュート様! お 落ち着いてください・・・」

「これが落ち着いていられるの! あの橋で失敗をして、あいつらにイヤミを言われて・・・・ キーッ! この悔しさ! この城にあるって言う、お宝を持って帰ればあいつらの手柄を横取りできるのよ! なのに、入れないなんて!」

 どうやら前回の失敗を挽回するために、この魔女の城へ入りたいようだ。だが、この城は強力な結界が張られていて、解除アイテムが無いと入る事ができない。確か別の大陸にある、『大盗賊の隠れ家』というダンジョンにあったはずだが・・・ バリビュートがそんな事を知っているはずも無いから、力技で行こうと思ったのだろう・・・。ちなみに俺もアイテムを持っていないが、魔剣という切り札がある。ただ、この状況で結界を破壊すると、バリビュート達まで城へ侵入してしまい、探索が困難になるだろう・・・。

 やっぱりさっさと倒して、中に入るのが良いだろう・・・。


「キーッ! それもこれも! アノ女たらしの冒険者のせいで!」

 女たらしって・・・ 誰の事だ!?

 チラッと横にいたクリスとカーラを見たら、目を逸らされた・・・・

 そうか・・・ あのヤロウ! ゆるさん・・・


「あっ!? ちょ・・・ アキラさん! 殺気が出てます!」

「え!?」

 アイシャの言葉に思わず大きな声を上げてしまった。


「ちょっと! アンタ達何でこんな所に!」

「冒険者だからだ!」

 何だかカッコ悪い登場になってしまったが、やる(・・)事は同じだろう・・・。

 そう・・・ 俺の一撃で真っ二つにするだけだ!

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