表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/103

魔女の城へ①

 目的の魔女の城は山を一つ越えた先にある。だが、山を越えるのはかなり困難になるだろう。なぜなら山頂から7合目あたりまで雪に覆われているように見える。そこを越えようとするなら、エベレストを目指していた某女性芸能人のように本格的な登山訓練を積んで、挑まなければならないだろう。何よりそんな時間は無い。

 そこで俺達のルートは・・・。


「よし、行くか」

「「はい」」

 俺達は山小屋を後にして、更に登って行く。20分程登って、大きな一枚岩の壁沿いを右に歩いて行くと、ぽっかりと洞窟らしき入口が空いていた。

 ここは、かなり前に廃坑となった坑道で、無計画に掘り進んだため、アリの巣の様に入り組んでいる。しかも廃坑になっているので当然モンスターが出現する。

『ハイゴブリン』『ボスオーク』『スケルトンソルジャー』『ファイヤーバット』『ロックゴーレム』の5種類が出現する。

 ハイゴブリンは、ゴブリンの上位種で斧を持っていて、初級の回復魔法と攻撃魔法を使ってくる、少し面倒なモンスターになっている。

 ボスオークは、オークのボスで斧を持っていて、背中に弓矢も装備しており、遠近両方の攻撃をしてくる。狭い坑道内でしかも薄暗い所から弓を射ってきたら防ぐのは難しいだろう。

 スケルトンソルジャーは、戦士の成れの果てと言われており、片手剣と盾を装備している。アンデットらしく、少々の攻撃では倒せずに復活してしまう。

 ファイヤーバットは炎に包まれた蝙蝠で、坑道内には魔法の松明が所々に設置されており、明るい場所があるが、ファイヤーバットは松明の中に潜んでいる事が多く、人が近付いた時に体当たりをして火を燃え移らす攻撃をしてくる。

 ロックゴーレムは・・・・ 今までと一緒だな。



 坑道内に入り中を確認する。入口から延びるメインの坑道は、トロッコや人の行き来が多いためか、結構広くなっていた。だが、先へ進むと人一人がやっと通れるほどの狭さしかない所もある。


「ここではあまり派手な戦闘をすると危険だから、なるべく剣を使って戦闘していく」

「危険・・・ ですか?」

「そうですね・・・ 落盤事故は避けたいですからね」

「分かりました!」

 危険の意味が分かっていなかったレイに、クリスがフォローを入れてくれて、レイも納得したようだ。


「あと火の魔法も危ないかもしれませんよ?」

「あ~・・・ やっぱり?」

「そうかもしれませんね・・・」

「???」

 カーラが注意をして、クリスが同意をしてくれるが、レイとアマネとアイシャは何が? という顔をしていた。


「このような坑道などでは、空気の量が限られています。そして火が燃える時は大量の空気を使用します。なので、限りのある空気を消費してしまうと、私達は呼吸ができなくなって死んでしまうでしょう」

「「なるほど・・・ それは恐ろしいですね」」

 カーラが説明をしてくれて、それに納得した三人はセリフがハモっていた。

 しかし、ゲームをしていた時にはそんな設定は無かったが、本来なら注意が必要なんだよな・・・。


「もしかして、ガスも注意が必要か?」

「ここは火山帯では無いので大丈夫だと思いますが、ガスを出すモンスターがいたらわかりませんね・・・」

「じゃあ、松明を持って行くか・・・ っと、丁度いい所に落ちていたな」

 周りを見渡していると、松明が数本入った箱が置いてあったので、1本もらっておいた。魔法で火を点けて先頭にいる俺が持って行く。ガスが発生している所や、空気が薄い場所ではすぐに変化がみられるから、先頭にいる人が持つのは常識となる。


「じゃあ、今度こそ行くか!」

「「はい!」」

 準備が整った俺達は、坑道を進んで行く。適当に進んで行くのでは無く、道の一つ一つに番号が振り分けられているので、正解ルートを最短距離で抜けて行く事にする。

 正解ルートから外れると宝箱や宝石などが落ちているが、特に必要ないため、今回はルート外の物は取らないで進んで行く。



「え~と・・・・ 1-1、2-1、3-1・・・・ 6-1、ここだな」

「アキラさんは、ここに来たことがあるのですか?」

「まあ・・・ かなり前にな・・・」

「流石ですね・・・」

 何が流石かよく分からないが、まあいいだろう。あんまり詳しく聞かれても困るからな・・・。


 脇道に入って少し進むと、スケルトンソルジャーが2匹現れた。敵はまだ気付いていないようで朽ち果てた屍のフリをしている。


「俺が行こう・・・」

 腰に差してある、居合刀を左手で押さえながら走って近付く。ある程度近付くとこっちに気が付いたようで、起き上がって剣と盾を構えた。

 俺は一気に居合の届く範囲に近付いて、刀を抜いた・・・。

 前に使っていた太刀の居合とはまるで違う速度で、刀が走る・・・。


 ・・・・・カチン


 俺が刀を鞘に納める音だけが響く。そして、モンスターは絶命し消えていった。

 たった一振りで2匹のモンスターを倒してしまった。そこそこ強いモンスターだったが、一撃とは・・・ 結構強い技のようだ。

 しかも、気持ちいい! これは楽しい技だ! これからどんどん使って行こう!


「今のは居合抜きですか?」

「ああ、そうだけど?」

「やはりアキラさんは凄いですね。私ではあんなに早く抜けませんから・・・ 全く見えませんでした・・・」

 まあ、俺も驚くほどの速さだったからな・・・ しかも、その速さのまま納刀できたし・・・ よく手を切らなかったものだ・・・。


「アイシャもその内できるようになるさ」

「頑張ります」

 俺の強さは無理でも、レイやアマネに近付く事はできるだろう・・・。


 その後も何回か居合抜きでモンスターを倒して満足した俺は、魔法攻撃に切り替えて進む速度を上げて坑道を抜けた。途中にあった宝箱などを開けてクリスタルや小さな宝石などを入手したが、どれも大した物では無い。こればっかりは仕方が無い・・・。


 坑道を抜けると少し高い崖の上に出た。眼下に広がるのは鬱蒼とした森だった。そして、森の中央には目的の魔女の城が見えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ