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結婚・・・?

 それともアイシャか? いやいや、相談に乗った事はあるが、そんな感じでは無かったし・・・。

 サーラか? でも、そんなに話した事無いしな・・・。

 マイア? もサーラと同じで、そんなに話した事無いし・・・。

 まさか! マリアか!? いや! それはマズイ・・・。 妹とさえ思っていた事があっただけに、結婚とは考えられない。しかも、まだ10才ぐらいじゃ無かったか? リアルで手を出せば確実に逮捕されて、ネットで「ロリコン キモ!」とか叩かれる年齢だ・・・。


「実はこの場におってな・・・」

「はぁ・・・」

 この場って事は、マリアじゃ無いようだが・・・。

 残るはクリスとアイシャとサーラとマイアか?

 他にも女性はいるが、面識の無い人ばかりだ。


「クリスティーナ・・・・・」

「はい・・・」

 え!? クリスなの? マジで? ほんとに? ガチで?

 クリスは立ち上がり、少し頬を染めている。


「「お~・・・」」

 貴族達は感嘆の声を上げて見守っている。


「アキラ様に好意を寄せている女性は・・・・」

 ゴクッ・・・

 あまりの状況に息を飲んでしまう・・・。


「そこにいる、アイシャなのです!」

「は?」

「へ?」

 クリスの言葉に、当人である俺とアイシャは、思わず間の抜けた声を上げて固まってしまった。

 9割5分クリスだろうと思わせておいて、実はアイシャとは思わないだろう。しかも、本人も驚いているし・・・。


「く く ク クリスティーナ様? い いったい何を・・・ 言っているのですか?」

「私見てしまいましたの! アイシャの恋する乙女の目を!」

「ど どこで・・・ですか?」

「そ れ は、ルスンの町でアキラ様にお願いをしていた時!」

「ふぇ!」

「あ と は、帰りの野営をしていた時に、今までに見た事無いくらい、可愛いアイシャだったわ!」

「ふぁぁぁぁ~~~~・・・・」

 クリスが目を煌めかせながら嬉々として話をして、それを聞いていたアイシャは、声にならない可愛い悲鳴を上げて、顔を真っ赤にしてワタワタしていた。

 クリスの楽しそうな様子に釣られたマコちゃんが、楽しそうにクリスの肩で跳ねているし・・・。



 俺の方は完全に思考が停止していた。

 反射的にレイとアマネの方を振り向く。


「クリス様より、アイシャ様の話は聞いていました。私達はご主人様の指示に従います・・・」

 俺は更に固まってしまった・・・。

 え? ・・・知ってたの? いつ? どこで聞いたの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ !?

 ルスンから帰りの野営か! そういえばクリスが見張りのメンバーを決めて、交代した後はレイとアマネに何か熱く語っていた! あの時か~・・・・。

 うわ~~~~~ 全然気が付かなかった・・・・。

 リアルでは女性から好意を持たれた経験が無いから、気が付かなかった。

 本やアニメなどからの知識はあったのにな・・・。

 もしこれを見ている人がいれば「この鈍感野郎!」と言われているだろう・・・。

 俺が見ている立場なら思ってしまうからな。

 でも聞いてくれ、当事者は気が付かないもんなんだよ・・・。


「お 王様、私は何も聞いていませんぞ・・・」

「フム・・・ そなたはいつも嘆いておったではないか・・・ 娘が騎士になってしまい、嫁に行けなくなった、どこかに良い婿はいないのか・・・。などと言っていたではないか?」

 王はライアスの横に立っている、がっしりとした男に話しかけていた。アイシャを娘と言っているから父親なのだろう。


「いや、しかし、今日初めて会った男に、娘を取られては適いません!」

「だが、アキラ殿はなかなかの器量と剣の腕を持っているようだぞ? そうであろう、ライアス?」

「その通りです。冒険者は荒くれ者が多いと言われていますが、アキラ殿は礼節を知っており、強さもクラーケンを難なく倒すほどの腕前です」

「確かに冒険者ギルド内で、アキラという名前の人物が噂になっていると聞いた事があります。なんでもモンスターを指先一つで消滅させるとか、草原にいるモンスターを殲滅したとか、ありえない噂ばかりです!」

 指先一つでダウンさせる噂は、まだ広がっているのか・・・。モンスターの殲滅はタイダルウェーブかな?


「王様! 私も納得できません!」

「カイト、お前もか・・・」

「はい! いとこであり、妹の様に一緒に育ってきたアイシャを、見ず知らずの人物に託せません!」

 王の横に立っていた他の騎士より豪華な鎧を身に着けている男が、不服を言っている。多分、上級騎士なのだろう。


「そ そうだ! え~と・・・ 王様! 我が家には長女が結婚する時には、一族で一番強い者に剣で勝たなければならないと決まっておりまして・・・・」

「バルサよ・・・・ 我はそんな話を聞いた事ないぞ・・・」

「・・・・・・いえ! あるのです!」

「カイト、そうなのか?」

「はぁ・・・」

「クラウス様・・・・」

 今まで事の成り行きを見ていた王妃が、王の名前を呼んでジッと見つめている。バルサとカイトが可哀そうになってきたので、助け船を出したようだ。


「分かった、分かった・・・。ならば、カイトとアキラ殿の勝負をしようではないか!」

「は! では準備を進めます!」

 アイシャの父バルサが率先して舞台を整えるようで、騎士達を集めて何か指示を出していた。


「アキラ殿もよろしいか?」

「・・・・・はい?」

「フム、では練武場で勝負を行う事とする」

 俺は思考が停止していたので、今までのやり取りが理解できていなかった、疑問の「はい?」が肯定と取られてしまったようだ・・・。

 思考が働き出した時には、いつの間にか練武場の前にいた・・・。

 ・・・・・どうしてこうなった?

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