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おれのいえ(元)

 完全に日が昇って明るくなってから目を覚ました。

 今日の用事は昼からなので、午前中はゆっくりと過ごすと、昨日二人に話していた。

 俺の両隣にはレイとアマネが横になっている。


「ゴメン・・・ 寝過ごしたか?」

「いえ・・・ 私達もさっき起きた所です」

「そうか・・・」

 目を開けていた二人に、俺が起きるのを待っていたのかを、聞いたがそうでは無いようだ。実際は分からないが・・・。

 とりあえず安心した俺は、二人にハグとキスをして身支度を整え始めた。

 それからのんびりと朝食を食べてから宿を後にした。



「なあ、ちょっと行ってみたい所があるんだがいいか?」

「私は大丈夫です、ご主人様!」

「私も問題ありません」

「そうか、ありがとう」


 俺は目的の場所へ向かう途中に、カーラのいる占い屋の前を通ると、昨日と同じく行列ができていた。

 今日は特に用が無いので、横を通って貴族区画の近くに行ってみた。

 ここには一軒家が多く建っている場所で、俺がゲームをしていた時に建てた家があったはずだ。

 この場所は団地のように区画が整理されていて、初めて来た人は迷ってしまうだろう・・・。

 ゲームでは簡単なマップだったので、迷う事が無かったが実際に歩いていると、どこを歩いているか分からなくなってきた・・・。


「あれ? どこだったっけ・・・」

「どなたかの家を探しているのですか?」

「あぁ・・・ ちょっと知り合いに勧められた、空き家があって見に来てみたんだ・・・」

 流石に「前世? と言うか、この世界に来る前にゲーム内で住んでた家です」って言えないだろうな・・・。


「空き家・・・ ですか?」

「そういえば、レイは占い師だったよな!」

「適当でしたけど・・・」

「じゃあ! レイの行きたい方向に行ってみよう!」

「え!? いいのですか・・・?」

「レイさんの占いも見てみたいです!」

「わ、わかりました・・・・・・・・。こっちです!」

 目を瞑って精神統一したレイは、先頭を歩き出した。曲がり角では同じように目を瞑っていたので、邪魔をしないように後を付いて行った。


「え~と・・・ レイさん?」

「はい! 何でしょう? ご主人様!」

「この場所は、さっき居た場所なんだが・・・・」

「え!? そうなんですか?」

 レイに付いて行って何回か曲がり角を曲がっていたら、レイに道案内を頼んだ場所に戻って来ていた・・・。


「もしかして・・・ 方向音痴か?」

「すみません! 大きい街はあんまり歩いた事が無くて・・・・」

「まあ、そんなに気にしなくて大丈夫だ」

「はい・・・」

 女の子は方向音痴が多いと聞くからその通りなんだろう。だが、冒険者で方向音痴はマズイ気がするのだが・・・。


「主様。こっちの道はまだ行ってないのでは?」

「あ! そうだな。一回行ってみるか。これで無かったら、クリス達の所へ向かうか。そろそろ待ち合わせの時間が近付いてきたからな・・・」

「はい」

 しばらく歩いていると、見覚えのある佇まいの家が見えてきた。


「おお! あった、あった」

「ここですか・・・」

「立派な家ですね・・・」

 他の家より少し土地が広く、建物も大きくなっている。10人ぐらいが住んでも全然余裕があるほどの大きさだ。

 外観は壁が白色で屋根が黒のシンプルな色使いをしている。構造は2階建てで、地下には大きめの倉庫があり、アイテム管理も問題無い建物になっている。外観がシンプルなので安っぽく見えそうだが、家の建て方が綺麗で、シンプルさ故の美しさが出ている感じがしている。あくまで俺の感想だが・・・。

 この家はゲーム内で購入できる中では最高ランクで、金額は50億Mの高額物件になっていた。

 手に入れる方法は購入するだけではなく、期間限定クエスト以外のSランク以下の全てを完了すれば、ギルドから報酬としてもらえる。ただ、全ての大陸のクエストを完了させなければならず、かなりの根気が必要だ。なぜならプレイヤーの運が関係しているクエストが何個かあり、物欲センサーが最大出力となって、断念するプレイヤーが続出し、頑張ってお金を稼ぐ人が殆どだからな・・・。


 敷地の入口には『空き家』と看板が掛かっていて、誰も住んでいなかった。


「ご主人様、この家を買うのですか?」

「主様、そうなのですか?」

「いやいや・・・、そんなに金は無いから見に来ただけだ」

 二人は期待に溢れた目を、俺に向けて質問してきた。冷やかしに来たとは言いにくいじゃないか・・・。

 そんな事を話していると、一台の馬車がこっちに向かって走ってきた。

 タクシー用では無く、貴族が乗るような豪華な馬車だった。

 俺の家(元)の前で停車して降りてきたのは・・・・。


「ライアスさん!」

「おお! アキラ殿か! それと、レイ殿と、始めましてアマネ殿」

「ライアス様ですね、初めましてアマネと申します」

 馬車からはライアスが一人降りてきた。ミラルダとマリアの姿は見えないから、学校の寮へ入る準備中か?


「アキラ殿はどうしてここへ?」

「あぁ・・・ 知り合いに進めらた家だったので、ちょっと見に来ただけです・・・」

 昔住んでいた・・・・・(ry


「ライアスさんは?」

「あぁ・・・ 俺は知り合いに家を頼まれてな!」

「そうですか・・・」

 どっちも知り合いかよ! 知り合いって誰だよ! ってツッコミが入りそうな会話になっていた。

 どちらも深く掘り下げずに話を進めていく。


「なかなかの佇まいだな~」

「そうですね~(俺が昔住んでいたからな!)」

「アキラ殿も気にっているようだな。もしかして買うのか?」

「いえ、今はそんなにお金が無いので、見るだけですね。ライアスさんは買うのですか?」

「いや、俺も色々見ている途中だからな~」

「そうですか・・・ っと! そろそろ、クリスとの待ち合わせの時間じゃないか?」

「・・・そうですね!」

「すみません、ライアスさん。クリス達と待ち合わせがあるので、俺達は失礼します!」

「ああ すまないな。引き留めてしまって・・・。また、後で城で会う事になるから、その時にゆっくり話そうか」

 俺達はライアスに研究所へ行く道を聞いてから向かった。迷子になって待ち合わせに遅れてはダメだからな。

 聞いた道を通って歩くと、昨日通った関所は俺の家(元)から5分ぐらいの距離しかなく、結構分かりやすい所だった。

 関所では昨日の兵士が、通行をチェックしていた。兵士が俺達を見つけた際には、敬礼をして「どうぞお通りください」とチェックすら無かった。流石に王族と関係がある、冒険者には信頼を置いているのだろう。


 研究所までは特に迷う事無く到着した。

 丁度、太陽が真上にあるので、待ち合わせの時間ぴったりに着いたようだ。

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