占い
冒険者ギルドを出た俺達は装備を整えるために、武器と防具屋に入って行った。
ちなみにモンスターの報酬はたいして出なかった・・・。そんなに倒してないしから仕方が無いな。
この店にはドラゴンの鱗を使った防具が売っている。防御力が高くて、ブレスなどの攻撃にも気休め程度だが、耐性をもっていて、そこそこ優秀な防具になっている。
武器は『太刀(真打)』『居合刀』が売られている。他にもゴツイ両手剣なんかも売られているが、俺は片手剣や太刀をよく好んで使っていたので、両手剣はあまり買わない。
全員分のドラゴン防具一式と太刀(真打)2本と俺用に居合刀を1本買った。居合刀には固有スキルの『居合抜き』がある。もちろん俺の能力値で使えば神速の抜刀術になるはずだ。使う時が楽しみだな!
装備の総額は約300万Mだったが、カジノで儲けていたので、まだまだ余裕がある。
次に行く場所だが、オークション会場で掘り出し物を見てもいいのだが、今一番欲しいMP消費減少の指輪は、次の魔女の城で手に入るから急ぎで買う必要がない。だから街をぶらついて宿を探したりする事にした。
宿を取るために歩いていると、一つの建物に行列ができていた。
「なんだあの行列は? おいしいパンが焼き上がる時間とかか?」
「確かにおいしいパンは、並んででも買いたいですね!」
「私が買ってきましょうか?」
「いや、アマネ! パン屋というのは冗談だ。看板には占い屋と書いてあるだろう?」
「あ! すみません! 看板を見ていませんでした!」
真剣に聞いてきたアマネが、恥ずかしそうにしている。看板だけじゃなくても、出て来る人達は何も持って無いじゃないか。やっぱりちょっと抜けているアマネは可愛いな!
「もしかしたら、あそこがクリスが言っていた、カーラがやっている占い屋かもしれないな・・・」
「そうですね、よく当たると評判になれば、行列ができてもおかしくないですね」
「試しに一回行ってみるか! この大陸にある魔武器の場所でも分かればラッキーだしな!」
「そうですね!」
「占いに興味があります」
レイとアマネも賛成のようなので、行列に並んで待つことにした。
30分程待つと俺達の順番が回ってきた。
「次の方どうぞ」
「お邪魔します」
呼ばれて中に入ると、いかにも魔法使といった感じの三角の帽子を被っていて、全身が黒のローブを着ている人が水晶玉の前に座っていた。顔は帽子のつばで見えないが、濃い紫色の長い髪が印象的だった。声からして女性だろう。
どこかで見た事あるような気がするが思い出せなかった。
「どうぞお座りください」
「失礼します」
彼女の前にあるイスに座ると、口元が見えた。
美人そうで、年も若そうだ。
「今日はどうしました?」
「ちょっと探し物がありまして・・・」
「ああ! 彼女達へのプレゼントですね! それならここに良い壺がありまして、何でも徳の高い神官が・・・・」
「どこの霊感商法だ!」
「ハハハハ、冗談ですよ! アキラさん!」
「いきなりだから、ビックリし・・・・・ 何で名前知ってるんだ?」
「それは私が占い師だからです・・・」
「ほんとに?」
「本当ですよ。では証拠に今から私が3つ数字を数えます。そして3と言った時に鐘が鳴りますので聞いてください。いきますよ、1・・・2・・・3!」
カラーン カラーン カラーン ・・・・
外で夕方を告げる鐘の音が鳴り響いていた。
「おおー! パチパチパチパチ」
「口で拍手をしないでください・・・・ 一応私の得意技ですから・・・」
「すまないな・・・ それで、俺達の探し物はどこにあるのだろう?」
「正確な場所を教えたいのですが、一つ私の依頼を受けてもらえますか?」
「依頼?」
「はい。アキラさん達しかできない事です」
「俺達しか? どんな事だ?」
「貴方達が次に向かうダンジョン、魔女の城へ連れて行ってください」
「これも占いか?」
「いえ、これはマイアさんから聞きました。アイシャさんに頼まれてダンジョンに入ると・・・」
「なるほど・・・ じゃあ、キミがカーラなのか?」
「あれ? 気付いていなかったんですか?」
「何となく思っていたが、クリス達からは恰好とか何も聞いて無かったから、確信は持てなかったな」
「そうですか、では改めて私が魔法使いで占い師で研究者のカーラです。今後ともよろしくお願いします」
そう言って帽子を脱いでお辞儀をした。かなりの美人さんだった。
「今後は、分からないがよろしくな」
「イジワルですね、アキラさんは・・・。ところで私の依頼は・・・・」
「あ~ 俺は別に良いんだが、アイシャがオッケーと言うかどうかだな・・・」
「大丈夫です! アイシャさんなら了承してくれます。 ・・・いえ、してみせます!」
「まあ、頑張ってくれ」
「はい!」
まあ、アイシャだったらダメとは言わないだろうから、一緒に行く事になるかな?
「では、アキラさん今日はここまでで終わりにしましょう。私は大体研究所か、ここで占いをしていますので、用事があれば来てください」
「明日とかは忙しそうだから無理だけどな」
「そうですね! 明日と明後日は忙しいみたいですね・・・ しかも、女難の相が出ていますよ!」
『女難の相が出ていますよ』 ニコッ(笑)とされても、俺は笑えないのだが・・・。
「それは占いか?」
「かなりの確率で遭遇しますね!」
「そうか・・・ 気を付けるよ」
「はい、頑張ってください。レイさんにアマネさんも、また会いましょう」
占い? が終わった俺達は建物の外に出た。
薄暗くなってきていたため、近くの宿に泊まる事にした。
宿は中の上といった所だろう。夕食を食べて、風呂に入り、二人との行為の最中にふと頭に浮かぶ「もしかして、この二人に嫌われるとかは無いよな?」いやいや、それはないだろう・・・ と自分に言い聞かせて、最後まで楽しんだ。




