ランクアップ
「そのカーラという人は今、研究所に居るのですか?」
「何か用事があると、言っていたので今日はいないですな」
「そうですか」
占い師と言っても、俺達が来る事は分からないようだな。もしかして会いたく無いから、いないだけか? そこまで分かっていたら逆に怖い気もするが・・・。
「ああ! それと聖獣の事を調べるとの事ですが、資料室は部外者の入室を断っているので、アキラさん達は立ち入りできません」
「私達がいてもダメですか?」
「残念ながら・・・」
「そうですか・・・」
「ルールなら仕方が無い。俺達は町でも観光してくるから、用事が済んだら・・・・ って連絡手段が無いか・・・。そうだな・・・ 俺達は街で宿に泊まるから、明日の昼頃に研究所に来て待ち合わせしようか?」
「そうですね・・・ 明日の昼までなら、何か分かるかもしれませんね」
「では、私が街を案内します」
「いや、アイシャはクリスを手伝ってくれ・・・ ってアイシャも入れないのか?」
「いえ、私は研究員の資格を持っていますので入れます」
「じゃあ、クリスの方を頼んでいいか? 俺はこの街には何回か来たことがあるから、多分迷わないし大丈夫だろう。次の機会に案内をお願いするよ」
「わかりました」
アイシャの申し出を断った俺を、クリスが何か言いたそうな目で見ている・・・。何かあるなら言って欲しいな・・・。と思っていたら、アイシャがクリスを窘めていた。
「そういえば、マコちゃんはどうするんだ? クリスが連れて行くか?」
「いえ、資料を調べるだけなので、退屈かもしれません。アキラさん達と一緒に観光した方が楽しいと思いますよ? マコちゃんはどっちがいいですか?」
「キュイ?」
マコちゃんは俺とクリスを交互に見て、何か考えているようだった。
「キュイ!」
「私と一緒でいいのですか? 退屈かもしれませんよ?」
「キュイ!」
「決まったようだな」
「そうですね」
「それじゃあ俺達は街へ行くから・・・ っとクリスは徹夜はしないようにな! 急ぎじゃ無いからゆっくりで大丈夫だから」
「・・・・・・・・もちろんですよ!」
クリスは夢中になり過ぎると、集中力が凄いから徹夜を平気でしてしまうらしい。俺の言葉の反応を見ると、徹夜する気満々だったようだな・・・。
急いでいないから、ゆっくり調べてくれ・・・。
「私が付いていますから、大丈夫です」
「頼んだよ」
「キュイ!」
アイシャに言ったのだが、マコちゃんが返事をしたので全員が吹出してしまった。
俺達はクリス達と別れて観光をするために、タクシーで一般区画へ戻っている途中だった。
「そういえば、魔武器はどの方角にあるんだ?」
「それが・・・ 分からないのです・・・」
「無いのか?」
「あるとは思います・・・ ぼやけた感じがして分からないのです。近付いたらもっとはっきりするかもしれませんが・・・」
レイとアマネが困った顔をしながら、話している。
「まあ、魔武器集めも急ぎじゃ無いし、ゆっくり探すか!」
「すみません・・・」
「いいから、いいから」
うなだれている二人の頭をナデナデしながら慰めて一般区画へ戻って行った。
貴族区画から一般区画へ戻る時はチェックは無く素通りだった。入る時に厳重だからいいのかな?
冒険者ギルド前で下車する。
流石に王都にあって本拠地なだけあって、4階建の大きな建物だった。
今回はモンスターをそんなに倒してないが、一応報酬を貰っておく事にした。
受付に行ってお姉さんに話しかけた。
「すみません! 報酬を貰えますか?」
「ではギルドカードをお願いします」
「はい、どうぞ」
「お預かりします・・・・ あ! アキラさんですね! 貴方の噂は聞いています。少々お待ちください」
そう言ってお姉さんは奥に入って行った。
何かどこかで見た風景だな・・・。
しばらくすると別の女性を連れて戻ってきた。
「こちらはギルド長のケハナさんです」
「初めましてアキラさん。私はギルド総長を務めていますケハナです。貴方の活躍は聞いております」
「はあ・・・ ありがとうございます」
「そこで、貴方のギルドランクをSランクに上げさせてもらいたのですが、よろしいですか?」
「俺は大丈夫ですけど、いいんですか?」
「問題ありません。報告をして頂いた冒険者や貴族の方からの内容を、吟味して出した結果です」
「そうですか・・・」
「それでは手続きをしますので、少々お待ちください」
少し待っていると受付のお姉さんが手続きを終了した。
「はい、カードをお返しします。あと、袋(特大)をお渡しします」
「ありがとう」
ついに最高ランクのSになった。袋も最大サイズの特大になった。この袋には全てアイテムが収納可能になっていて、アイテム収集家も満足の一品になっています・・・・ ってどこかのテレビショッピングみたいになっていたが、これがあれば持ち物を気にする必要は無い。
と思ったが今でも困って無い俺には、どうでも良かったな・・・。
「それではアキラさん、これからも益々のご活躍を期待しております」
「頑張ってみます」
ギルド総長ケハナと受付のお姉さんに見送られて、ギルドをあとにした。




