表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/103

魔獣

「なかなか腕の立つ人間が居るようね・・・。 でも、まだまだ私のターンですわよ!」

 バリビュートはそう言ってローブから杖のような物を取り出した。

 そして、今だ動かない魔荒クジラに近付いて、杖らしき物をを向ける。

 杖のような物が怪しく光り、クジラの頭に張り付いて大きな角となった。

『一角魔荒クジラ』が誕生した。


「この子が私の忠実なる下部よ! さあ! クジラちゃん。アナタを苛めた人間に仕返しをしてあげなさい!」

 バリビュートがそう言うと、クジラが俺達に向かって突進をしてきた。

 狭い橋の上でしかも、角がある巨体が突進をしてきてはたまらない。


「アースウォール」

 クジラの前に5枚の壁を出現させる。


 ドゴォ!


「あぶっ!」

 クジラが壁にぶつかって止まったのだが、角は壁を突き破って俺のすぐ横に飛び出していた。思わず変な声を上げてしまったのだが、そんな事を気にしている余裕はなさそうだ。


 壁が崩れてクジラの姿が見えた時には、水のブレスを準備していた。


「アマネ! この剣を使って防いでくれ!」

「主様、わかりました!」

 俺は袋からアマノムラクモを取り出してアマネに渡す。


 ブシャーーー!


「はっ!」

 クジラから放たれた水のブレスは、アマネの掛け声と共に一閃されて消えていく。


 俺はそのタイミングで一気にクジラとの間合いを詰めて斬りつける。

 1回、2回、3回、・・・と連続で斬るが、斬ったそばから回復していって全くダメージを与えていないようだった。


「な!? どういう事だ! 全然ダメだぞ!」

「アキラさん! あの角はユニコーンの物かもしれません!」

「ユニコーンだって?」

「そうです! あの回復力は異常です。でもユニコーンの角にある、治癒力なら可能なはずです!」

 ユニコーンはゲームに1体だけ登場するが、絶滅危惧種なので討伐はできない。保護する事がイベントの目的となる。ただ、角だけはダンジョンのアイテムとして手に入る。その素材を使って究極の回復薬『エリクサー』を作る事ができる。しかも、1個の角から10個のエリクサーが作れる。今のクジラに生えている角のサイズは10倍ぐらいの大きさになっている。そうなると治癒力が相当詰まっているのではないだろうか・・・。


「あらあら、ユニコーンの事を知っている人間が居たなんて、珍しい事もあるもんね。でも、あの角は特別性よ! 私が特殊な加工をしてあるから、回復力は10倍になっていて、その力を使えば使うほど魔獣として落ちていくのよ。ホホホホホホ・・・・」

 何て厄介な事をするんだ! どうやって倒すか・・・ 魔剣で一気に勝負を付けるか?


「アキラさん・・・ 少しいいですか?」

「ん? どうしたクリス?」

 クリスが俺の近くに寄って来て、小声で話し始める。


「もしかしたら、あの魔荒クジラは完全に、魔獣になっていないのかもしれません・・・。卵から孵った直後に暴れる事が無くて、あの角を付けられてから私達を襲ってきました・・・。それに、あの男もそれらしい事を言っていました」

「そうか・・・ ならあの角を斬ればいいのか?」

「斬るだけではダメだと思います。その後に浄化させれば、元の聖獣に戻るのではないかと思います・・・」

「浄化か・・・ もしかしてあの魔法か?」

「・・・そうです、あの魔法ならできるかもしれません!」

 俺とクリスの作戦会議が終わった。やる事は二つだ! 角を斬って、浄化して聖獣に戻す。

 簡単な作業だな・・・。


「何かするつもりね? じゃあ、もっと面白くしてあげる!」

 バリビュートが手を上げると橋の両側から白い柱が出てきた。

 どこかで見た光景だったが、俺の目には何か判った・・・。


「クラーケンだ! 気を付けろ!」

 なんて事しやがる! このオカマ野郎!

 こんな序盤が終わって中盤に差し掛かった時の戦闘で、クラーケン2匹はやり過ぎだ! しかも、ただのザコ扱いとは、クリスとアイシャには少しキツイか?


「レイ! この剣でクリスとアイシャのサポートに回ってくれ!」

「はい! 分かりました!」

 レーヴァテインを袋から取り出してレイに渡す。


「まずは魔法で行くぞ! サンダーストーム!」

「そんな面白く無い事はさせないわよ!」

 俺の放った雷がクラーケンに落ちる前に、バリビュートが空に手を掲げて何かをつぶやくと、雷雲が霧散してしまった。

 流石に魔王の側近だけあってそんな技が使えるとは・・・。 メンドクサイな!


「レイとクリスとアイシャは左のクラーケンを頼む! アマネはクジラの気を引いておいてくれ!」

 俺は指示をして右側のクラーケンを相手にする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ