第5話 魔剣の強さ
クエストはやっぱり初級からですね!
「そういえば、レイはどれくらい剣と同化できるようになったんだ」
「たぶん・・・。半日ほどですね」
少し考えてから、返事が返ってくる。自分の中の力を確かめたのだろう。
「半日か・・・」
「はい。えっと・・・ す すみません。き 昨日あれだけ沢山していただいたのに・・・」
俺のつぶやきにレイが答えるが、途中から顔が真っ赤になって恥ずかしそうに少しうつむいて話している。
ヤバイ! 超可愛い! 抱きつきたい!
いやいやいや・・・。押さえろ俺! ここは道の真ん中で公衆の場だそんな事をしたらダメだ。でも、これはゲームだし・・・。いやいや そういう問題じゃない、ある程度線引きしておかないと俺がダメ人間になりそうだ。そもそも、俺はこんなにがっつく人間だったっけ? もしかしてレイは魅了のスキル持ちか? まさかな・・・。
俺が葛藤をしながらモジモジしているのを、レイが見つめる。
「??? 何をしているんだろう?」という顔だ。
「いやいや 昨日の事は置いといて。 うん 置いとこう!」
「あ・・・ はい!」
なんか変な返事になってしまったな。
「じゃあ、今回のクエストは敵も弱いし、近場だし大丈夫だな」
「そうですね!」
レイが元気よく返事をして安心した俺は歩き出そうとするが、一つの疑問が浮かぶ。
「レイはその姿の時に、戦闘はできるのか?」
「はい できます」
「どれぐらいの強さなんだ?」
「えっと 私の方が魔剣の力なので、魔剣のスキルが使えます」
「スキル? 装備するとスキルが使えるようになるってこと?」
「はい そうです。私のスキルは『剣聖』です」
「剣聖!? 確か剣聖は全ての剣技をマスターした者が取得できるスキルだよな?」
「たぶん その剣聖だと思います」
この『剣聖』のスキルを取得すると、剣とは違う武器を装備しても全ての剣技を使うことができるスキルになっている。通常プレイでは取得するのに膨大な時間がかかるため、このスキルを持っているのは、お金を沢山注ぎ込んだ一部のプレイヤーに限られる。
もちろん俺はその一部のプレイヤーだ。なにせ貯金が尽きかけたからな!
「それはスゴイな。でも、俺はそのスキル持ってるからなー・・・。」
「そ そうですか・・・」
あれ? 俺、やっちゃった?
レイが凄い悲しそうな顔で返事をした。
剣聖のスキルは確かにスゴイよ、だから俺もびっくりはしたよ。レイはやっぱり期待したのかな? 俺の役に立てるって。でも、持ってるものは仕方ないじゃないか! 嘘をついても、どうせすぐにバレるし! あー・・・ どうしよう・・・。
「ほ 他にはスキルは無いのか?」
「他ですか・・・? 『魔法解除』です・・・」
俺は褒める所を探そうと違うスキルを聞いてみるが、レイは少しテンションが低くなって返事をしてきた。
「魔法解除? 聞いたことないスキルだな・・・」
「そうなんですか? 魔法解除とは敵が飛ばしてきた魔法や防御魔法や色々な所に張ってある魔法結界を無効化します」
「マジ?」
「はい!」
そんなスキルは聞いた事なかった! そのスキルを使えば魔法攻撃なんか怖くない。しかも上級ダンジョンの入口にある結界も解除できるはずだ。これなら初期イベントをカットする事も簡単だ。一気に上級装備を揃える事ができる。
「それは凄い! そのスキルがあれば冒険の役に立つ!」
「そ そうですか!」
俺の素直な感動にレイの機嫌は直ったようだ。ヨカッタ ヨカッタ
「他にも、私は火属性ですので『炎付加』が使えます」
「炎付加? 剣に炎を纏わせるってこと?」
「はい! そうです! ただ、私が剣と同化すれば『全てを焼き尽くす炎』を纏えるのですが、私自身が剣を持って使うと弱い火になります。通常の剣では溶けたり、歪んだりして、使い物にならなくなってしまいますから・・・」
だんだんテンションが下がりながらレイはスキルの説明をしていく。
いや! 結構凄いスキルだと思うよ。
「そうなのか。でもそれは凄いスキルだと思うぞ!」
「ありがとうございます!」
ヨシヨシ。レイの機嫌も直ったようだし、クエストでも片付けるか。
村の出口へ歩きながら考える。レイの装備も整えてパーティを組んだ方が戦闘が有利になるだろう。クエストが終わってから装備を買ってやるか。
ただ、このクエストの報酬の合計より、レイの所持金が多いので、俺が買うよりレイが自分で買った方が、強い装備になるんじゃないか? いやいや・・・ 男の甲斐性を見せるチャンスだ! 頑張れ俺!
村の出口へ到着して、クエスト内容をもう一度確認する。
レッドスライム 5匹討伐
ミニトレント 4匹討伐
ドラゴンもどき 2匹討伐
レッドスライムは村を出た草原で遭遇するし、ミニトレントは南の森にいるし、ドラゴンもどきは森の泉近くにいるはずだ。
南に向かって行けば全て討伐できるはずだ。
「じゃあ 同化できるか?」
「はい わかりました!」
村を少し離れた所でレイに同化を頼んだ。流石に人に見られない方がいいだろうからな。
剣とレイが赤く輝くと俺の手には魔剣が握られていた。
しばらく南へ歩くがモンスターは現れない。影すら見えない。試し斬りをしたいのだが・・・。
「なあ レイ? この魔剣の状態でどれぐらいの切れ味なんだ?」
「え~と・・・ そこの岩ぐらいなら サクッ! っと斬れます!」
俺は試し斬りをする相手が現れないので、レイに聞いたが軽い返事が返ってきた。
近くにあった岩に近付き剣を振り下ろす。刃先が欠けそうで怖いので、ゆっくりだ。
スゥー・・・
「え!?」
俺は目を疑った! 力を殆ど込めてないのに、岩が真っ二つになってしまった。
思わず岩が柔らかいのではないかと触ってで確かめた程だ。
手で触ると石の感触で、確かに硬い。
「斬鉄剣だ・・・。こんにゃくは斬れないとか?」
「いえ。こんにゃくも鉄もオリハルコンも斬れます!」
俺の冗談のつぶやきにレイが真面目に返してきた。
え!? オリハルコンも!? 最強ランクの装備の素材だぞ!?
「オリハルコンも斬れるのか?」
「はい 頑張れば斬れます!」
頑張るとはどの程度なのだろう?
この剣があれば超魔王も一撃なんじゃないか?
俺はそんな気がしてきた。
こんにゃくが斬れる斬鉄剣は最強です。




