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第46話  メルキアに到着

心に秘めた思いを、人と共有すると安心できる事があります。

 話終わったアイシャは何かスッキリとした表情をしていた。


「そろそろ交代の時間ですね。皆さんを起こしてきます」

「ああ・・・ 頼むよ」

 クリス達が休んでいるテントに向かうアイシャの背中を見ながら思う。

 俺は自分の今までの人生の中で大きな決意をした事があっただろうか? 目の前にある道をただ歩いていただけだった気がするな・・・。


「おはようございます! ご主人様!」

「主様。おはようございます」

「ああ・・・ おはよう」

 俺が考え込んでいると、レイとアマネが起きて傍まで来ていた。


「あれ? クリスは?」

「テントの中でアイシャさんと話しています」

「そうなのか・・・」

 話の内容を聞く訳にはいかないので、俺はこれ以上何も言わない。ただ、二人が出て来るまで俺はテントへ寝に行けないだろう・・・。

 しばらくして二人が出て来ると、アイシャが少し怒った顔をして、クリスが謝っているようだった。なかなか見ない珍しい光景だった。


「あ! アキラさん! おはようございます!」

「おはよう」

 クリスはアイシャの雰囲気を変えるためか元気よく挨拶をしてきた。


「じゃあ、見張りを頼んで俺達は寝るとするか!」

「はい そうですね」

「私達と同じように、アキラさんとアイシャも一緒にね・・・・・」

「クリス様!」

「あ! いえ・・・ 何でもないですよ!」

 何かを言いかけたクリスだが、真っ赤な顔をしたアイシャに詰め寄られて黙ってしまった。

 何だかいつもと様子が違う気がするが、俺にはよく解らなかった。リアル世界では女性と接する事が殆ど無かったからな・・・。


 それぞれのテントに入って寝ようとするが、アイシャの決意の話を考えていると、寝れなくなってきた・・・・。

 テントの外からはクリスが何か熱く語っているようだが、内容までは分からない。アイシャとのやり取りを見ていると、何か企んでいるのだろうか?

 外の声を聴いていると少しずつ眠気がやってきた。まあ、クリスの企みは、その時になってみれば解るだろう。

 そう思っていると、いつの間にか眠りについていた。



 夜が明ける少し前に目を覚ましてふと思う。俺って目覚まし時計無しでも、ちゃんと起きれるようになったんだな・・・。今更なのだが、不規則な生活をしていた俺が、この世界の生活リズムに馴染んできたんだと思わされる瞬間だった。


 俺が起きていくとアイシャはすでに起きていて、朝食の用意をしていた。

 どうやら、あまり眠れなかったらしく、早めに起きたそうだ。

 俺がアイシャの手伝いをして、クリス達三人に少し休憩をしてもらう。

 そして、全員で朝食を食べて、完全に日が昇ってから出発した。



 メルキアまでの道のりも特に問題無く進んで行く。

 予定よりかなり早くなり、昼ごろには到着した。


「予定よりかなり早く到着しましたね~」

「そうだな。戦闘の時間が殆ど無いと言ってもいいからな」

「アキラさん達はどうされます? 私とアイシャは先にマリウス様のお屋敷へ行こうと思うのですが・・・」

「そうだな・・・ とりあえず冒険者ギルドへ行ってから、少し町を見て宿を・・・・」

「アキラさん! 明日の朝に出発をしたいので、今夜はマリウス様のお屋敷で泊まりましょう!」

「・・・・・そうさせてもらうか」

 どうやらクリスは俺達が町で宿を取るのに反対らしい・・・。

 別に泊まるのはいいんだけど、知り合いの屋敷でエッチな事できないじゃん!

 仕方が無いが旅の途中もできないから、しばらく我慢だな・・・・。



 クリス達と別れて冒険者ギルドへ向かった。

 中に入って受付の女性に話しかける。

 前回来た時とは違う女性だった。


「すみません! 色々モンスターを倒したんですが賞金は出ますか?」

「では、ギルドカードを提出してください」

「はい、どうぞ」

「はい・・・・ え~と・・・ な!? え!? あ! アキラさんでしたか!」

「どうかしましたか?」

「いえ・・・ 少しモンスターの討伐数が異常でしたので驚いたのですが、噂のアキラさんなら当然でしたね!」

 いったいギルド内での俺の噂とかはどうなっているのだろう・・・。異常な数字が当然って・・・。


「え~と、『ベアウルフ 876匹』『ドラゴンベビー 335匹』『ロックゴーレム 289匹』『トレント 56匹』『ファイヤーカー 134匹』『半漁人 45匹』『魚人 50匹』『大マリモ 32匹』『アイスゴーレム 1匹』ですね。・・・・全部で250万Mです」

 塵も積もれば山となるだな。3ケタ超えの討伐数は間違いなく、タイダルウェイブの魔法だろう・・・。確かにこの数字を見れば異常なんだろうな・・・。数日の討伐数では無いからな。


「あと一つ確認したい事がありまして、南の林で『サーベルキャット』に助けられたという噂があるのですが、何か知りませんか?」

「あ~・・・・ 関係あるかどうかわかりませんが・・・・」

 俺は南の林で子猫を助けた事と、どうやら言葉が通じそうだと伝えると、受付の女性は襲われた時以外の戦闘を禁止して、人間から近付かないようにするとギルド内で通達して様子を見ると言った。

 その方が良いだろう。余計な関係を悪化する行動を取らない事は大事だからな。

 俺はサーベルキャットの件と討伐の賞金の合計280万Mをもらいギルドをあとにした。


 それからオークション会場を見に行くが、大した商品も無くすぐに出て行った。

 他に買う物が無いし、あんまり遊んで遅れるとちょっと失礼かなと思って、マリウスの屋敷へ向かう事にした。

噂に尾ひれが付いてどんどん内容が変わっていくのはよくある事です。

皆さんも噂に踊らされないように、気を付けてください。

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