第43話 アイシャのお願い
ここでの用事は終わったようです。
「それじゃあ、明日の夜明けに出発しようか? 今日出ても林をギリギリ抜けられそうだが、何か問題が起こったら、林で夜になってしまうからな」
「そうですね。アキラさん達はこれからどうするのですか?」
「俺達はこの町の観光でもしようかと思っているが・・・。クリス達はどうするんだ?」
「私とアイシャで、水龍の神殿に行ってみようかと思います」
「そうか・・・ 1階部分は敵が出ないが、地下に入ると敵が出るから注意して行ってくれ。手助けが要るなら、俺達も付き合うが?」
「いえ 大丈夫です。1階の祭壇を見たいだけなので」
「そうか、気を付けてな!」
「はい ありがとうございます。あと今日の夜なのですが、一緒にお食事でもどうでしょうか?」
「別に構わないぞ」
「では日が暮れる頃に、この館に来てください。よろしければ、泊まっていかれても大丈夫ですが?」
「いや 宿は昨日泊まった所にするよ」
「そうですか、分かりました。お待ちしています」
「それじゃあ、また後で!」
俺達はクリス達と別れて部屋を出た。
館の廊下を歩いていると、後ろから呼び止められた。
「アキラさん! 少しよろしいですか?」
「ん!? ああ! アイシャか、何だ?」
「先ほど言い忘れましが、水龍饅頭をありがとうございました。クリス様と騎士団の皆で美味しくいただきました」
「そんな事は別に気にしてもらわなくても良かったのだが・・・。饅頭屋で貰い過ぎただけだったしな」
「いえ、頂いた物のお礼はきちんとしなくては、ダメですから」
「そうか・・・ まあ、美味しく食べてもらえて良かったよ」
「はい。あと・・・ 実は一つお願いがあるのですが・・・」
「お願い?」
「はい・・・ あの・・・ ダンジョンの探索を一緒にお願いしたいのです・・・」
「別に構わないけど、どこのダンジョンなんだ?」
「王都の南東の山脈にある、『魔女の城』です」
魔女の城は昔に強大な魔力を持った魔女が住んでいた城で、数々の魔法実験などを繰り返してきたため、魔女に造りだされた魔法生物が今も徘徊する恐ろしい城となっている。ただ、魔女が残した魔道具や装備が数多く手に入るので、魔法使いには行っておきたい場所の一つになっている。
「クリスのためか?」
「はい・・・ クリス様は世界を見て回りたいそうなので、装備の強化をしたいのです。一番可能性が高いのは魔女の城だと思います。ただ、私達の強さでは、まだ探索ができないですから・・・」
「わかった、任せてくれ!」
「ありがとうございます!」
アイシャがニッコリと笑ってお礼を言った。
その姿があまりにも可愛かったのでつい・・・
ポンポン
頭をポンポンしてしまった・・・
怒られるかと思ったが、アイシャは照れて恥ずかしそうにモジモジしている。
その仕草がまた可愛いな!
だが、これ以上は何かイケナイ気がしてきたので、止めておいた。
「じゃあ、アイシャまた後でな!」
「はい・・・ アキラさん・・・」
アイシャは笑顔で俺達を見送ってくれた。
「さて・・・ これから何処に行こうか?」
「主様にお任せします」
「ご主人様! ケーキ屋さんはどうでしょうか?」
「おお! それはいいな!」
「はい!」
「ケーキ屋さんですか?」
「美味しい所だから、気にいると思うぞ」
「分かりました」
こうして俺達はケーキ屋に行って、フルーツケーキと水龍饅頭を食べて、お茶を飲んでまったりと時間を潰した。
その後は町をブラブラして三人でのデートを楽しんだ。
夕方になってクリス達がいる館へ向かった。
食堂へ案内され、全員が席に着いて乾杯のあと食事が始まった。
食事をしているのは、俺、レイ、アマネ、クリス、アイシャ、ライズだった。
サーラとマイアは一足先に王都へ戻って、報告などをしているらしい。仕事熱心な人達だな・・・。
食事はなかなか楽しかった、ライズがクリスの小さい頃の話をして、慌ててクリスが止めたり、クリスとアイシャが小さい頃に幼馴染みとして育ってきたとか、本人は少し恥ずかしいが周りにいる俺達は楽しい話や、俺達が行った水龍の神殿の話をした。最深部で見つけた龍波の杖を見せたらクリスとライズの目がキラキラと輝いていた。
流石にこの杖はあげないけどな・・・。
食事会が終わり俺達は宿に戻って休む事にした。
明日は夜明けに、町の入口に集合してからの出発だ。
部屋に入って今回は三人で風呂に入って楽しんでから、ベッドでも楽しんだ。
そして、夜明け前に起きて朝食を食べてから、集合場所へ向かった。
集合場所へ向かっていると、クリスとアイシャが脇道から出てきた。
丁度いいタイミングだったようだ。
俺達は挨拶を交わして、ルスンの町を後にした。
アイシャはデレると可愛いです!




