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第31話  林を抜けて

キャンプ行きたいですね~

 アイシャの相談が終わって少ししたら、交代の時間が来たのでレイとクリスを起こしに行く。

 もちろん俺がレイで、アイシャがクリスだ。

 俺がクリスのテントに急に入ったら、さっき上昇したアイシャの信頼度が暴落してしまうだろう。


 レイとクリスが起きたら、俺とアイシャがそれぞれのテントに入って休む。

 二人の話し声が聞こえるが、女の子同士の話だし聞かない方が良いだろう。俺はすぐに眠りにつく。



 夜が明ける少し前に、目を覚ました。


「レイ クリス おはよう!」

「アキラさん おはようございます!」

「ご主人様! おはようございます!」

 俺がレイとクリスに挨拶をした時に、アイシャも起きてきた。


「みなさん! おはようございます!」

「おはよう!」

「おはようございます!」

「アイシャさん おはようございます!」

 全員が揃った所で朝食の準備を始める。

 俺とアイシャが朝食の準備をして、できるまでの間にレイとクリスが少し休憩をする。

 周囲が少し明るくなり始める頃に、食事ができて全員で食べる。

 そして、完全に日が昇り今日の旅が始まる。



 しばらく進んで林の中に入って行く。

 林の中では、今まで出たベアウルフと別に『サーベルキャット』『トレント』が出現する。

 サーベルキャットは、まあサーベルタイガーとほぼ同じだが、体格が小さいので、動きが素早くなっている。牙の切れ味が鋭く、並の剣と同じぐらいに良く切れる。

 トレントはミニトレントより大きく5メートル程ある。近付くまでは普通の木と見分けが付きにくい。枝にドリアンのような棘がある実を付けて、それを飛ばしてくる事もある。


 林と言っても、街道があるので迷う事も無いし、敵の種類が変わっても、俺達には大した強さでは無いので問題無く進んで行った。

 トレントに至っては、ミニと同じく道の真ん中で擬態をしている。しかも枝には棘の実を付けているので丸わかりだ。こいつらは本当にダメなヤツだよ。俺とクリスの魔法にあっさり倒されるだけになっている。

 他にはベアウルフとトレントは出て来るが、サーベルキャットだけは出てこない。居る事は居るみたいで、林の方を見ると名前が出て来る。俺達を警戒しているようだ。それとも実力の違いが判っているのかもしれないな。



 入口から2時間ほど歩いて、林の中間ぐらいにきたら目の前にトレントとサーベルキャットがいた。

 トレントはいつも通り道の真ん中に居るのだが、サーベルキャットはトレントの上の方の枝の先で震えている。しかも名前が『サーベルキャット(子)』となっている。俺の頭にはよくあるシチュエーションが浮かんでいる。

 それは・・・ 高い所に昇って降りられない子猫だ!

 どうしようか? 助けたい気もするが、モンスターだしな・・・ でも、どう見ても子猫だよなぁ~・・・。


「どうしようかな~?」

「う~ん・・・」

「え~っと・・・」

「どうしましょう?」

 全員が悩んでいるようだ。

 ただ、ここで悩んでいてもしょうが無いので・・・。


「とりあえず、助けるか」

「そうですね・・・」

「はい・・・」

「はい!」

 トレントはまだ気付いて無いのか、動かないので俺が行く事にする。暴れられて子猫が落ちたりして、怪我をしたら意味が無いからな。


「じゃあ 俺が行く! ソニック スラッシュ」

 俺は斬撃を真横に飛ばし、一撃でトレントを絶命させた。

 真横に斬っているので、トレントは倒れる事無くそのままの姿勢で死んでいる。

 そして、トレントが消える前に一気に枝を登って子猫に手を伸ばして捕まえた。

 枝を飛び降りようとしたら、子猫が『ガブッ!』と噛みついてきた。子猫だけあって牙はそれほど無いが、痛いのは痛い。俺の能力が高いおかげで、少し血が出る程度だが、他のメンバーだったら牙が食い込んでかなりの出血になっただろう。だが、痛いからと言って子猫を空中で放すわけにはいかないので地上まで我慢をした。


「ご主人様!」

「「アキラさん」」

「大丈夫だ、大した事無い」

 三人が心配して声を掛けて来るが、強がって答えた。痛いけど・・・。


「ほれ! もう大丈夫だ。 次は高い所に登るなよ!」

 林の方に子猫を放してやった。奥には親?らしき影が見えたしな。

 子猫は林の中に駆けて行ったが途中で止まって、俺達を見て「ミャア~」と鳴いて奥へ走って行った。

 助かって良かったが、敵として出てきたら戦い難くなっただけのような気がするな・・・。

 噛まれた傷を魔法で治した後に、林を進むがサーベルキャットは一度も現れ無かった。

 猫の恩返しかな?



 更に進んで林を抜けると遠くの方に、山が見えてきた。あと5時間ぐらい歩けばルスンに到着するはずだ


「あの山の麓がルスンだ。もう少しだから気を抜かずにがんばろう!」

「「はい!」」

 俺の言葉に全員が返事をした。


 草原に入ると敵はベアウルフとドラゴンベビーとロックゴーレムの三体になるはずだったが、最近では『ファイヤーカー』が出現するらしい。

 ファイヤーカーは火の車では無く、火を吐く大きなカラスだ。カラスが「カーカー」と鳴くからその名前になったらしい。何て適当なネーミングだろう・・・。ただ、上空から突然火を吐かれたら、かなりの脅威だろう。


 何て思っていたが、「カーカー」鳴きながら飛んでいるのですぐに敵の場所がわかる。しかも飛んでいるだけで攻撃してくる様子も無いし気にせずに進む事にした。


 しばらく進んで2時間ぐらい経っただろうか? 上を飛んでいる声が増えている気がしてきた。最初は1羽だったのだが、今では10羽飛んでいる。なんだか他のモンスターの遭遇率も上がっている気がするし、もしかするとカラスが呼んでいる可能性もある。


「あのカラスが敵を呼んでいるのか?」

「どうなんでしょう?」

「わかりません」

「私が倒します! サンダーランス!」

 クリスが放った雷の槍が1羽を倒した。

 その瞬間だった・・・。


「ガー!ガー!ガー!・・・・」

 カラスの鳴き声が変わり、周囲からどんどんカラスが飛んで来る。

 更に地上のモンスターも俺達に向かって集まって来た。

 そういえばカラスは攻撃されると仲間を集める習性があるんだっけ?

 5分ぐらい経つと、空には100羽ほどのカラスと地上には70匹ほどのモンスターが集まっていた。


「す すいません! 私のせいで・・・」

「ここは私が敵を蹴散らします!」

 上も下もモンスターに囲まれて、焦っているクリスとアイシャだが、レイはいつも通りだった。

 俺が焦った様子を見せていないので、この状況でも心配していないのだろう。


「ここは俺がやろう」

 周囲を見渡し魔法を唱えた。


「アクアサイクロン」

 俺の周囲に10個の水でできた竜巻が発生した。その竜巻は俺を中心に回転を始めて、しばらくすると一つの大きな竜巻となった。俺達は竜巻の中心にいるので全く影響は無いが、周囲にいたモンスター全てが竜巻に飲み込まれて、水の圧力で押し潰されて上空へと飛ばされた。

 竜巻が消えた後には何も残っておらず、俺達四人だけだった。


 アクアサイクロンは通常の杖で使える数少ない殲滅魔法だが、特殊イベントで入手しないと覚える事ができない。しかも術者を中心とした効果範囲なので、広い場所で使わないと余計な被害が出てしまう。使いどころの難しい魔法だ。


「ア アキラさん・・・ な なんでそんな魔法使えるのですか? アクアサイクロンって古代魔法ですよね?」

「え!? そうだっけ?」

「はい・・・ 私のいる研究所で解読をしている魔法の一つです・・・」

 あれ? 魔法の選択間違ったか? サンダーストームでも良かったかもしれないが、上空の敵に雷を落として、そのまま自分達も当たったら大変だから、違う魔法を使ったのだが・・・。


「昔に行ったダンジョンで石碑に書かれていたんだ!」

「ど どこのダンジョンですか?」

「え~と・・・ 王都のあるリステリア大陸とミシリア大陸の丁度中間にある海底遺跡だ。俺が行った時は浮上していたんだが、今は沈んでいるはずだけどな・・・」

「そういえば、その話は聞いた事があります。王都から調査団を派遣した時には、その遺跡が無かったので、ただの噂だったと結論が出たはずです・・・ 本当にあったのですか・・・」

 確か1週間の短期イベントだったはずだ。その後は1回も復活しなかった幻のイベントだ。

 幻になったのは、魔法を使うと他のプレイヤーを巻き込んで、死亡させてしまうので幻になっただけだがな。


 クリスが落ち着きを取り戻した頃に、ルスンに向かって歩き出した。

 その後は特に問題は起こらずにルスンに到着した。

ネコ派とイヌ派とよく分かれて議論をしますが、どっちも好きです。ネコアレルギーですけど・・・。

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