第25話 モンスター討伐報告
バザーを解散して、次の街メルキアへ向かいます。
「アキラとレイの意見はどうだ?」
「俺も安全が確保できるまで、バザーを解散した方が良いと思います」
「私もそうした方が、良いと思います」
俺とレイはもちろん解散に賛成だ。実際に敵と戦っているから、個々の冒険者の強さを見ていた故の判断だ。
「そうですか・・・。あなた方がそう判断するのなら、それが良いのでしょう・・・」
マルクはゴネる事無くあっさり自分の考えを改めた。的確な判断ができる人物のようだ。
「では今日の正午に出発をしよう。正午の出発ならパルタとメルキアに日が暮れる前に着くだろう。今からすぐ皆に通達して準備を整えてくれ。冒険者の皆には今から休息を取ってもらって、移動する時の護衛について欲しい」
「わかりました。早速、商人達に伝えてきます」
「了解しました。見張りの冒険者を残して休息を取ります」
「わかりました。メルキアに戻った時に王国へ使者を送って、この地域の警戒強化などを要請します」
それぞれが自分の役割を理解し戻って行った。
「アキラとレイも今から休んでくれ、準備は俺達が進めておく」
「わかりました。お願いします」
「おねがいします!」
休憩を取れるのはありがたい。戦闘中にバザー内を走り回っていて、しかもMPをかなり使ってしまっている。
まあ走った事はそんなに疲れていないが、気分的に疲れた。現実世界ではそんなに体力がある方ではなかったが、この世界ではフルマラソンを全力疾走しても余裕がありそうだな。流石に能力値MAXだな。
俺とレイは部屋に行って眠りについた。もちろんエッチはしない。昼の出発への休憩なので、体力を使ったのでは意味が無いからな。
3時間ほど経った頃に目が覚める。隣ではまだレイは寝息を立てていた。
俺は自分のMPを確認すると最大値まで回復していた。MPは自然回復していくが、睡眠を取ると回復速度が急激に増加するので、寝ることが大事になるが、かなり早い気がするな・・・。
「おはようございます ご主人様・・・」
「おはよう」
自分のステータスを見ているとレイが目を覚ましたようだ。
レイのステータスを確認すると、MPがかなり減っている。今朝の戦闘でだいぶ使ってしまったようだ。レイのMP回復は俺との行為しか方法が無さそうなので、今日は無理だろう。まあ、仕方が無い。
今朝みたいな強敵はそうそう出てこないと思うから、問題は無いだろう。もし、出現したら俺が頑張れば何とかなるかな・・・?
レイが目を覚ましたので、旅の準備を始める。準備と言っても俺達の荷物は少ないし、袋に殆ど入っているので、身支度だけで済む。準備が終わる頃にバルガスの妻タリムが俺達を呼びに来たので、そのまま一緒に部屋の外へ出た。
「アキラ殿にレイ殿、早かったな。十分に休めたのか?」
「大丈夫です」
「はい!」
宿の広間には俺とレイ以外の全員が揃っていた。
「では、行くとするか!」
ライアスの号令で出発する事になった。外に出てライアス達が馬車に乗るが、俺とレイは護衛をするつもりで外にいると、他の冒険者達が護衛を引き受けたので一緒に乗って欲しいと言われたので、一緒に乗ることにした。強敵が出たらすぐに飛び出せばいいしな。
馬車はバザーの西側の入口で止まる。
どうやら西のメルキアに向かうグループと、東のパルタに向かうグループで集まって出発するらしい。
それはそうだな。バラバラで向かったら護衛の冒険者が足りなくなってしまうからな。
「全員が集まったな! では、鐘を鳴らして10分後に出発する!」
カン! カン! カン! カン! カン!
馬車の外でバルガスの声がした後に、鐘の音が鳴り響いた。
すぐ後に、東側からも鐘の音が聞こえた。
鳴らしてすぐに出発しないのは、残された人が音に気付いて来るように、少し待つらしい。
そして、10分後にバザーを解散した俺達を含む商隊は、メルキアへ向かって出発した。
道中は特に問題無く進んだ。時折モンスターが現れるが、ザコばかりですぐに退治されていたようだ。
移動する人数が多い事もあり、メルキアについた頃には、日が傾き薄暗くなっていた頃だった。
メルキアへ到着すると、グループは解散してそれぞれ分かれていった。宿探しも大変そうだしな・・・。
「アキラ殿とレイ殿はこれから、俺の屋敷に招待させてもらいたい」
「いえ 俺達は先にギルドへ行って、今回と前回のモンスターの襲撃で少し気になることがあるので、それを報告してから向かいます」
「そうか・・・ 師匠もギルドへ報告に行くと言っていたから、向こうで会うと思う。俺が屋敷に戻ったら案内の者を一人ギルドへ向かわせるので、用事が終わったら一緒に来て欲しい。師匠は屋敷の場所を知っているから、後で来る事になっているからな」
「わかりました」
俺とレイはライアス達と別れてギルドへ向かうことにした。報告は迅速に行わないと手遅れになるからな。
「なあ レイ。魔武器の場所はどっちにある?」
ライアス達と別れてから、俺は本来の目的をレイに尋ねた。あまり他の人に聞かせる内容では無いしな・・・。
「はい・・・ ここからなら丁度、南側です」
「南? なら水龍の神殿か?」
「詳しくはわかりません・・・」
「じゃあ、ライアス達と別れたら、次はそこに向かってみよう!」
「はい!」
真南には『水龍の神殿』と『遺跡の町ルスン』しかない。神殿には元々行きたかったので丁度いいだろう。
次の目的地が決まって少し歩くと、ギルドへ着いた。
ギルド内にはバルガスの姿は無かった。俺達の方が早かったか、先に着いて別の部屋で話しているかだろう。
「すいません モンスター襲撃の報告をしたいのですが?」
「何の襲撃でしょう?」
「まずは、ミシリア大陸のマルトからライラまでのモンスターと、次はドルフィン号と、最後にパルタとメルキアの間にあるバザーです」
「え~と・・・。ギルドカードを見せてもらってもいいですか?」
「はい どうぞ」
「あ~! 貴方が噂のアキラさんでしたか!」
「噂ですか?」
「はい! ギルドランクの飛び級昇格や、強力なモンスターを指先一つで倒すって聞いてます!」
それはどこの神拳伝承者だ! 噂に尾ひれが付き過ぎだ!
「いや・・・ それはただの噂です。そんな滅茶苦茶な強さでは無いです」
「そうですか? では少し討伐モンスターをチェックさせてもらいますね・・・ え!? うそ・・・ ほんとに・・・。はぁ~ アキラさん噂は本当ですね・・・ 何ですかこの『ロックスコーピオン 387匹』『アイアンスコーピオン 108匹』「レッドクリスタル スコーピオン 1匹』って! これのどこが滅茶苦茶な強さじゃ無いんですか!!」
「はあ・・・ すみません」
なんか知らんが起こられたぞ・・・ でもそんなに倒していたのか、全体魔法で一掃していたから、全然気にしていなかった。
「は!? ゴホン・・・。 し 失礼しました。少しお待ちください・・・」
「・・・はい」
何とか冷静さを取り戻した受付の女性は、奥の部屋へと入って行った。またですか・・・。
しばらくして出てきたのは、厳ついおっさんと受付の女性とバルガスだった。
雑魚モンスターの討伐数は適当です・・・。大体これぐらいかな? って所です。
もしかしたら、多くなっているかもしれないですね(笑)




