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第24話  夜明け

襲撃が終わって、とりあえず一安心です。

「レイ、霧が晴れているな・・・」

「はい・・・ やっぱりモンスターと関係がありそうですね」

「そうだな。一度ギルドに報告した方がよさそうだな」

「はい」

 謎が一つ増えた俺とレイはバザーへ戻って行った。


 俺達がバザーに着いた頃、東の空が明るくなってきていた。


「アンタ達! 無事だったか!」

 俺達に話しかけてきたのは、モンスターが来る前にこのバザーの東側で話していた冒険者だった。どうやら生き残ったようだ。フラグを建てなかったからか、どうかは分からないが良かった。


「そっちも無事のようだな」

「あぁ 俺はな・・・」

「そうか・・・」

 確かに俺が東側に着いた時には何人かの冒険者が死んでいた。もしかしたらこの冒険者の仲間だった可能性があるのだ・・・。俺はそれを訪ねるほど無神経では無いので、救助の話題を変える事にした。


「怪我をしている人達はいないか? 俺は回復魔法が使える」

「さっきアンタに回復してもらったから、ここに居る奴らは大丈夫だ。ところでそっちのの毒は大丈夫か?」

「ああ 俺が治したから大丈夫だ」

「そうか・・・ それは良かった。サソリにやられそうになった、他の冒険者を庇って毒をくらったからな。しかも、あのデカブツが現れたら、自分の解毒薬を俺達に残して向かって行ったから心配してたんだ」

「そうなのか・・・。いや 心配してくれてありがとう」

「礼を言うのは俺達の方だ。アンタ達が居なかったら全滅していたに違いない・・・ ありがとう!」

「気にしないでくれ。お互いに生き残れて良かったよ。じゃあ、俺は他の所へ行ってみる」

 俺達はそう言って西側へ向かって歩き出した。


「なあレイ さっきの冒険者が言った話なんだが、他の人を助けたりするのは良い事だ。でも、自分の身体も大事にしてくれ」

「ご主人様が他の人達を守ろうとしていたので、私もそう行動しました。私は必ずご主人様が来てくれると確信していましたので・・・」

「いや 今回はかなり危なかった。もし、間に合わなかったと思うと・・・」

「いえ! ご主人様は必ず来てくれると信じています!」

「うん・・・ あ~ がんばります・・・」

 俺はレイに無茶な行動を控えて欲しかったのだが、俺の目を真っ直ぐキラキラした目で、そんな事を言われたら何も言えなくなってしまう。次からは俺の方が気を付けて行動しよう・・・。

 ただ今回の事で広範囲の戦闘は二人ではキツイな。ゲームをしていてクエスト失敗になって、死人が出ても特に何も思わなかったが、実際に目の前に居る人が死ぬと考えると、胸が締め付けられる思いだ。特に今の俺はこの世界で最強クラスなのだろう・・・。だから、大抵の事は出来てしまう。なのに近くに居て助けられない人が居るのが凄い無力感を感じてしまう。

 新しい仲間を入れたいが、男だとレイにちょっかいを出しそうだし、女だとレイが焼きもちを焼くかな? それはそれで嬉しい気もするが、戦闘に支障をきたしては意味が無いし・・・。後は俺とレイの戦闘に付いてくるには、相当な実力が必要になってくる。足手まといを入れたのでは更に意味が無いからな。なかなか難しい問題だな・・・。

 なんて事を考えていると西側へ着いた。途中で南側に寄ったが、俺が倒した敵だけの襲撃だったらしい。

 西側へ着いた頃には、日が昇りすっかり明るくなっている。



「アキラ殿! レイ殿! 無事だったか!」

「ライアスさん! あなたも無事でしたか!」

「ああ! 貴方達のおかげだ! 敵が撤退して行ったから、北と西へと回っているのだが、殆どの敵はアキラ殿が倒したみたいだな」

「まあ、俺が一番自由が効きますからね。ただ、東側の2度目の襲撃では何人か冒険者がやられました・・・」

「アキラ殿・・・ 貴方が責任を感じる必要は無い。なぜならアキラ殿が居なかったら、もっと被害が増えていただろう。もしかしたら全滅する可能性もあったはずだ。・・・私が言える言葉では無いかもしれないが、バザーを救ってくれて、ありがとう!」

「・・・はい」

「俺は南と東に行って来る。ここは最初の襲撃を凌いだ時に怪我人がでたが、もう回復しているので心配無い。北側で師匠が二人の事を心配していたから行ってくれないか?」

「わかりました・・・」

「では、また後で」

「はい」

 そう言うとライアスは東側へ何人か引き連れて歩いて行った。

 俺とレイは北側を目指して歩き出した。


 歩いていると色々と考えが浮かんでくる。やっぱり装備の強化も必要だな。今回はMP切れを心配しながらの戦いだったから、マジックポーションに頼った所があったからな~。実際にはMPは足りたようだが、もっと戦闘が長い場合には底を尽くだろう。『MP消費半減』のスキルが付いた装備が欲しいな・・・。後は超級魔法が使えるようになる杖だな。殲滅魔法『メテオストライク』『ホーリージャッジメント』『カタストロフィ』なんかを使うともっと楽だっただろうな。そういえばこの大陸にも1本あったはずだ。確か『水龍の神殿』だったかな?


 水龍と名前が付いているが、別に龍が居るわけでは無い。ただ水龍が昔祭られていた神殿という場所だ。この神殿の最深部の隠し部屋に居るボスを倒すと手に入る。先に行っておいた方が良さそうだな。

 今後のルートを決めると丁度、北側に着いた。



「おお! アキラにレイ無事だったか!」

「はい」

「東の敵はどうだった?」

「レイが強敵を引き付けてくれたおかげで、被害は少なくて済みました・・・」

「そうか・・・ それだけで済んで良かったのだろう」

 俺の声のトーンから、何人か犠牲になった事を察したのだろう・・・。


「それで、強敵は何だったんだ?」

「え~と・・・ レッドクリスタル スコーピオンです」

「な!?・・・・・・・・・・・・。 お お前達、よく倒せたな・・・」

「まあ、かなりギリギリでしたけど何とか」

「そ そうか・・・。 だが、そんなヤツが来たとなると・・・」

「どうしたんですか?」

「あー・・・ アキラとレイは先に俺の宿に行っててくれ。俺達も少ししたら戻る」

「??? わかりました」

 何か考えがありそうなバルガスだったが、今は言うつもりはないのだろう。なんだかスッキリしないまま、俺達はバルガスの宿屋へ向かった。

 北側も怪我人はバルガスの指揮で治療されてたので大丈夫だったようだ。



 宿屋へ入ると、4つの人影があった。

「ああ! アキラ殿! レイ殿! ありがとうございました!」

「お兄ちゃん! お姉ちゃん! ありがとう!」

「「アキラ様 レイ様 本当にありがとうございました!」」

 ミラルダとマリアと執事二人が俺達にお礼を言ってきた。


「皆も無事で良かったです!」

 怪我をした様子が無いので安心した。

 それからしばらくは、襲撃時の状況を話し合った。


 非戦闘員はバザーの中心部に避難していて、途中から商人が回復アイテムなどを自分の店まで取りに行って、それを東西南北まで有志が運んだらしい。ライアスとミラルダとマリアの三人も志願したのだが、周囲の人々が反対をして止めたのだが、頑なに行こうとしたらしく執事二人が、自分達が行くのでここで皆の不安を軽減させて欲しいと言ったら、何とか留まってくれたようだ。

 執事達は大変だったようだな・・・。

 まあ、皆が嫌がる仕事を、偉い人が率先してすると士気が高まるからな。この人達は計算してやるのではなく、自然と出来る人達だから人望があるのだろう。

 執事とか近くに居る人達にとっては『頼むから大人しくしていてくれ・・・』って感じだな。


 状況を話していると、バルガスとライアスと他二人が宿に入ってきた。



「皆待たせてすまない。アキラとレイは初めてだな。こいつは俺のダチで商人のマルクだ。そしてこっちが弟子のカリムだ。二人ともこのバザーで商人と冒険者のリーダーをやっている」

「アキラさん レイさん。初めまして商人のマルクです。今回はアキラさんの指示のおかげで、手遅れになる前に物資が前線へ届けられて助かりました。商人を代表してお礼を言います」

「アキラさん レイさん。西と東側では助かった。冒険者のカリムだ。貴方達のおかげで被害が最小限で済んだ。冒険者としてあまり力にはなれなかったが、代表して感謝したい」

「マルクさん カリムさん 今回の事は皆が力を合わせての結果だと思います。俺の力だけでは・・・・・」

「あ~・・・ アキラよ。謙遜する事は悪くないが、感謝をする側としては素直に礼を受け取って欲しい時がある事を分かってくれ・・・」

「・・・そうですね。わかりました! 皆さんが無事で良かったです」

 それはそうだよな・・・。本気で感謝をしているのに「俺は別に大した事してないですよ」とか言われたら、なら誰に感謝をしたらいいのか分からなくなるからな・・・。


「自己紹介も済んだ事だし本題に入ろう。ここに居るのは貴族と商人と冒険者の代表だ。俺は『今回の襲撃でアキラとレイが居なかったら全滅していた』と結論付けた。だから、このバザーを解散しようと思う」

「な!?」

「俺もその方が良いと思います」

「私もそう思います」

 商人のマルクは驚いているが、冒険者のカリムと貴族のライアスは予想していたようだ。

 俺としてもその方が良いと思う。並みの冒険者が今回の敵を退けるのはまず無理だろう。ならば安全が確保できるまで、解散をした方が良い。

冒険の拠点が無くなると厳しいですね・・・。

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